個人が投資を始めるとき、何をすべきか?5

<昨日の続きです。>

個人が投資を始めようとするとき何をするでしょうか。

  1. インターネットで「個人」「投資」などのキーワード検索をする。
  2. 個人投資に関する本を買って読む
  3. 新聞・雑誌で情報収集する
  4. 「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 」の順位を参考にする
  5. 親など家族に聞く
  6. 友人など知り合いに聞く
  7. 銀行、証券会社の窓口に行って相談する
  8. ロボ・アドバイザーに入力して、アウトプットを参考にする
  9. ファイナンシャル・アドバイザーに相談する

<今日は9.から始まります。>

9.ファイナンシャル・アドバイザーに相談する

ファイナンシャル・アドバイザーが信頼できるかどうかが重要です。信頼できるかには、2つの意味があると思います。

1.相談者のためになるアドバイスをしてくれる

ファイナンシャル・アドバイザー(FA)の収入源

銀行・証券に所属するFAの収入源

ファイナンシャル・アドバイザーは、なぜ、アドバイスをするのでしょうか。それは善意のボランティアではなく、収入を得るためです。銀行や証券会社でファイナンシャルプランナーの資格を持った人が、無料で相談にのってくれる場合も有りますが、このような人たちの人件費、各種経費は、高い金融商品を販売することによってカバーされていることを忘れてはいけません。

独立系FAの収入源

一方、金融機関に属さない独立系のファイナンシャル・アドバイザーは、高い金融商品を売る可能性は低いものの、バックマージンを受けっとっている可能性もあり、全面的に信用してよいかは不明です。また、独立系のファイナンシャル・アドバイザーは将来にわたって長期間、使ってもらう必要があるので、その観点からアドバイスを捻じ曲げる可能性があります。

独立系FAはVTを勧めない

例えばVTというETFは、米国を含む全世界の先進国株式市場および新興国株式市場に分散投資していて、理想的な投資銘柄の一つと考えられますが、純資産総額は長らく1兆円に届きませんでした。アメリカのS&P500 に投資するSPYが30兆円規模であるのに比べると、小さな銘柄です。このVTが育たない理由は、アメリカのファイナンシャル・アドバイザーが顧客に推薦しないからです。VTの販売元であるバンガード社に言わせると、「この商品で完全に分散投資してしまうと、それ以降アドバイスする必要が無くなってしまうので、ファイナンシャル・アドバイザーの仕事が無くなってしまうため、良い商品だとはわかりつつ、推薦しない。」のだそうです。誰もが、自分の収入確保を第一に考えて行動していることが分かります。当然のことですね。

保険のアドバイザーの見極め方

なお、保険のアドバイザーに関しては、良い見極め方があります。それは、顧客が会社員の場合、生命保険は、勤めている会社の福利厚生で導入している団体生命保険を最初に推薦するかどうかです。この団体生命保険は、最も低コストなのです。しかも、もしこの商品のサービスが悪ければ、人事部に苦情が入るので、サービスも良いと考えるのが普通の発想です。なお、最近はインターネットで加入できる低コスト商品も出てきていますので、それと比較することも勧められます。

以上のことをまとめると、

  • 銀行・証券会社などの金融機関のアドバイスには耳を貸さない方が良い
  • コストの高い特定の商品ばかりを推奨する独立系アドバイザーは、バック・マージンを受け取っている可能性がある:信託報酬(コスト)の目安は、ETF・インデックスファンドなら0.2%以下です。アクティブファンドを勧めるアドバイザーは信用しない方が無難だと思います
  • バックマージンを受け取らない良心的な独立系アドバイザーでも、最後は自分の収入を確保するために偏りがちなので、注意を要します。

ということになります。

結局、投資のアドバイザーについては、なかなか良心的なアドバイザーを見極めることは難しいのですが、例えば、次のようなアドバイスを勧める人は信頼できる可能性が高いと思います。

例1)中高齢で、手許現金・預金が比較的豊富にある顧客

  • 1~3年分の生活必要資金を銀行の普通預金にし、
  • 今後数年間は使う予定でないが、リーマンショック、コロナショックなどで減少させたくない(元本保証)の資金を銀行預金(普通、定期)か、個人向け10年変動国債にし、
  • 長期的に保有し、5%程度の利回りを期待する商品は、信託報酬0.2%以下のVT、VOO、SPY、1306、1308等で保有する
  • 上記の商品を買う金融機関は、顧客が自分で選ぶ

例2)比較的若く、手許現金は少ないが、これから投資を始めようとする顧客

  • 勤めている会社の企業型確定拠出年金は海外株式インデックスファンドを選び、
  • 1~2年分の生活必要資金を銀行の普通預金にし、
  • イデコ、つみたてNISA、課税される投資信託積立を、無理ない範囲で積み立てる
  • 積み立てる銘柄は、<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド、eMAXIS Slim シリーズなどとする。
  • 銘柄はノーロード(購入手数料なし)で信託報酬0.2%未満

2.納得感がある。

将来、投資の結果の結果がどうなるか分かりません。10年経ってもあまり増加しない可能性もありますし、かなり増えても不満に思うかもしれません。運用益という結果とともに、納得感も大事だと思います。

納得感を得るためには、ある程度の金融リテラシーを持ち、実際に購入して、その後も時々、これで良かったかどうかを情報収集しながら確かめることが大事だと思います。ただし、

  • 長期:10年

  • 分散:世界又は日米

  • 低コスト:信託報酬0.2%以下

の商品を選び、それを

  • バイ・アンド・ホールド:10年間売り買いしない

で貫けば、間違いはないと思いますので、10年間、じっと辛抱することで、どんな結果になっても納得感は得られると思います。

「10年経って、マイナスだったらどうするのか?」その答えは、「もう10年待つこと」です。個人投資家は時間をかけてじっくりやりましょう。