パンデミック・エコノミー時代の究極の選択 2

日本と同様、アメリカにおいても生活費に関して究極の選択を迫られている人が多いようですので、それを見てみましょう。ニューヨーク・タイムスの2020年4月17日の記事です。以下は拙訳です。

<昨日の続き>

しかし、まじめに家計管理をしてこなかった多くの人は、今後数か月の厳密な支出スケジュールを今作成しています。

26歳のクリーシ―・カルバートは、ミネアポリスのコンサートホールでバーテンダーとウェイトレスの夜の仕事をして、数日間で300ドル稼いでいましたが、3月中旬にレイオフされた後、無収入になり、政府の助成金を待っています。

2週間、完全なパニックに陥り、手持ちの食料品をやり繰りして、お金が入ってくるまで制限するしようとした。」と彼女は言いました。「創造的になるんです。わずか半分の食事になり、おんなじ物を何度も何度も食べていることを忘れようとして、香辛料や薬味を試すの。」

今月初め、カルバートさんは州から毎週1,100ドルの給付金を受け取り始めました。彼女は今、支払いを管理できるように、毎月の請求書支払期限をスケジューリングしようとしていています。家賃600ドル、電話代75ドル、公益料最大120ドル、ストリーミング・サービス60ドル、クレディットカード200ドル、その他費用。

「私はすべてのクレジットカードの支払いを同じ週にしようとしている。そうすると、クレジット・カードの週、家賃の週、電話代の週になる」とカルバートさんは言います。彼女は食料品を購入するお店をターゲットからアルディに変えました。そこなら農産物とプロテインをたくさん買えます。健康保険に入らないので、免疫システムを良好に保ちたいため、果物と野菜に余分に30ドル、40ドルを進んで費やす、と彼女は言います。

「リスクは取れないわ。一枚でも病院から請求書が来たら破産よ。」とカルバートさんは言います。

収入の少ない半分以上のアメリカ成人は、今月の請求書を払うのに四苦八苦すると言っています。これは、ピュー・リサーチ・センターが、5,000人近い成人の調査で、中間層の4分の1、上級層の11パーセントと比較した調査です。この調査では3人の家計で、年収37,500ドル~112,600ドルを中間層と定義しています。全体として、連邦政府景気刺激交付金を期待している人たちの半分は、必須費用を払うためにできるだけ、この交付金を使おうとしています。一方、5人に1人は貯蓄にまわす計画です。

予備資金を作り出すために、フリーランスやパート・タイムの仕事を探す人は多い。3月にフレックスジョブに登録して、家でできる仕事を探している人は126%増え、このサイトへのアクセス数は去年に比べて58%増加しました。アップワークでは、自宅から出られない従業員にテクニカル・サポートを供給したり、コロナウイルスに関する企業のメッセージを執筆する人材を、多くの企業が探しています。

オハイオ州・シルバニアのデジタル・マーケティングのスペシャリストであるロン・デュガンは、たくさんの顧客が広告を減らすのを目の当たりにしてきました。その中には、例年行う大イベントが中止になった後、予算を90%削減した非営利法人もいました。しかし、別の顧客の農産物供給企業は大規模なホームページ改修を発注しましたし、地元のメンタル・ヘルス・グループは、インターネットによるサポートグループを強化しました。

60歳のデューガンさんにとって精神的プレッシャーは強い。既存の顧客に加え、新規事業を起こそうとしているので、平日は以前より3時間長く働きます。彼と奥さんは収入の3分の一を失いましたが、政府援助の条件に適合しません。

「私たちは収入不足で完全にまいったね。私たちは日常生活品を買えるし、たぶん住宅と自動車の支払いもできるけど、それで終わりだ。でも私たちは、独りぼっちじゃない。心配するのではなく、受け止めることに努める。生活必需品を確保し、今はそれだけで十分だ」と彼は言います。

それでもデューガンさんは、精神的に参ってしまいそうになる、と認めています。奥さんとは同居しています。奥さんは、医療の仕事で往復2時間の通勤をする必要はなくなりましたが、一緒にいられる時間は減りました。でもご夫婦は何とかやりくりしようとして忙しいので、出来立ての食事を作るのをやめて、代わりに冷凍食品とファスト・フードに買えました。

「時間が全然ない。一日の終わりには疲れ切ってしまう。」と彼は言います。

以上が拙訳でした。

日本では、ゴールデン・ウィーク明けまで自粛することになっていますが、その後の見通しは立っていません。はっきりと言えることは、ゴールデン・ウィークが明けても、完全に自粛が無くなることは無く、いま経済的に厳しい人たちはもっと大変になるだろうということです。アメリカでは、自粛を終わらせたいと思っている人たちと、続けようとしている人たちが対立を始めました。何事もアメリカの後を追っている日本は、この点でも後追いしそうです。

ただし、コロナ後の世界は、コロナ前とは別の世界が出現しそうです。テレワークやインターネットの利用が進んでいるでしょう。新しいビジネスを起こすチャンスもあるでしょうし、今まで生きながらえてきた商売が無くなるかもしれません。