失業:アメリカ、自殺者、雇用保険、講習

コロナショックで、感染して死亡する人と経済的問題で自殺する人の話題が出ています。コロナ関連の失業について、調べました。

1.アメリカ

2020年5月8日発表した4月の雇用統計によると、失業率は14.7%と前月の4.4%から急上昇し、戦後最悪となりました。景気動向を反映する非農業部門の就業者数は2050万人減り、1930年代の大恐慌(グレート・ディプレッション)以降で最大の落ち込みになりました。

ただし、大恐慌の時には失業率が8%上昇するのに丸1年かかったのですが、今回は1カ月で10%上昇しました。ロックアウトの影響が響いているようです。

2.自殺者

教育社会学者の舞田敏彦氏は、戦後日本の失業率と自殺率の推移を調べ、両方の数値には強い相関関係があることを明らかにしています。失業率が1%上がる、つまり67万人の雇用がなくなると、2339人の自殺者が出る恐れがあるということになります。下のグラフを見れば、失業率と自殺率が、同じ動きを示していることが分かります。

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3.雇用保険

雇用保険は、労働者が失業した場合などに必要な給付を行ったり、再就職を援助する制度です。

雇用保険の概要

対象者:企業の労働者がはいれます。経営者である社長や役員、個人事業主、その家族は加入することができません。

保険料

  • 保険料は事業主と労働者で負担。ただし折半ではありません。
  • 保険料率と負担割合は業種によって異なります。

給付内容

  • 基本手当(求職者給付)
  • 就職促進給付
  • 教育訓練給付
  • 雇用継続給付

4.ハローワークの訓練制度

失業すると、基本手当の申請、求職、職業訓練などでハローワークに行きます。最近、ハローワークの映像がテレビで放送されますが、コロナウイルスで失業が増えているのに、あまり混んではいません。コロナウイルスの感染を恐れて近づかないのでしょう。

ハローワークの業務のうち、訓練制度を見てみましょう。

公共職業訓練
求職者支援訓練
障害者訓練
介護労働講習・就職氷河期関係訓練
学卒訓練

公共職業訓練制度は、就職に向けた知識・技術の取得、レベルの向上を図るための制度です。職業能力開発のために以下の訓練を行っています。

・都立職業能力開発センター
求職・転職希望者に対し、一般向け、高年齢者向け、障害者向け等多様な科目の訓練を行っています。

・民間教育機関での職業訓練
求職者の早期就職に向け、民間教育訓練機関等に委託して実施する職業訓練や講習です。

・その他の職業訓練

・キャリアアップ講習
主に中小企業で働く方を対象とした、スキルアップや資格試験受験対策のための短期講習です。

・障害者向け職業訓練
障害をお持ちの方のために職業訓練を実施しています。

・企業の人材育成・確保
企業の人材育成や人材確保を様々な形でサポートしています。

・技能振興・イベント
東京都では、各種表彰やイベントなどを通じて、技能振興やものづくり支援を行っています。

・技能に関する資格
技能検定や職業訓練指導員免許に関する事務を行っています。

・東京都職業能力開発計画

5.都立職業能力開発センター

都立職業能力開発センターでは、求職中の方や新たに職業に就こうとしている方などに、就職に向けて必要な知識・技能を学ぶための職業訓練を実施しています。場所は以下の通りです。

  • 中央・城北職業能力開発センター:センター、高年齢者校、板橋校、赤羽校
  • 城南職業能力開発センター:センター、大田校
  • 城東職業能力開発センター:センター、江戸川校、台東分校
  • 多摩職業能力開発センター:センター、八王子校、府中校
  • 東京障害者職業能力開発校

科目には、以下の過程があります。「有料」、「無料」とは授業料等のことを指しており、普通課程(訓練期間1年および2年のコース(若年者就業支援科を除く))は、授業料等が有料となります。授業料は、年額118,800円です。

・普通課程(有料の科目)
・短期課程(無料の科目)
・高年齢者の科目(無料の科目)
※高年齢者科目では、概ね50歳以上の方を対象としています

普通課程(有料の科目)には以下のものがあります。

  • 機械関係(普通課程)
  • 建築・造園関係(普通課程)
  • 電気関係(普通課程)
  • 塗装・印刷関係(普通課程)
  • 情報関係(普通課程)
  • ファッション関係(普通課程)
  • その他(普通課程)

短期課程(無料の科目)は以下の通りです。

「一般向け」とは、求職者及び転職を希望する方のためのコースです。
「30未満」とは、30歳未満の方を対象としたコースです。

  • 機械関係(短期課程)
  • 建築・造園関係(短期課程)
  • 電気関係(短期課程)
  • 塗装・印刷関係(短期課程)
  • 介護関係(短期課程)
  • その他(短期課程)

高年齢者の科目(無料の科目)は以下の通りです。

概ね50歳以上の方を対象としたコースです。
※概ね50歳以上の「概ね」とは前5歳までの幅を見込んでおり、45歳以上の方を対象としています。

  • 建築・造園関係(高齢者科目)
  • 電気関係(高齢者科目)
  • その他(高齢者科目)

6.求職者支援訓練

求職者支援訓練とは、雇用保険を受給できない求職者の方が職業訓練によるスキルアップを通じて早期再就職を目指すための制度です。

訓練の種類

●基礎訓練(基礎コース)
就職に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を付与するための職業訓練

●実践訓練(実践コース)
基礎的な技能等並びに実践的な技能及びこれに関する知識を付与するための職業訓練

令和2年6月8日開講コースは以下の通りです。

(基礎コース)
ビジネスパソコン基礎(教室2)科
パソコンスキル基礎科
初歩からできるビジネスパソコン基礎科
パソコンスキル基礎科

(実践コース)
WEBクリエイター養成(午前)科
ゲーム・アプリ・Webクリエーター養成科
アプリ・WEB・システムエンジニア養成科
ITエンジニア就職科
パソコン・経理・総務・表計算VBA実務科
不動産ビジネススキル養成科
オフィスワーク総合マスター(午後)科
医療事務・医事コンピュータ・調剤事務科
基礎から学ぶ医療事務・医師事務作業補助者養成科
医療事務と調剤薬局事務科
WEBデザイナー養成(午前)科
グラフィックデザイン(午後)科
建築知識も学ぶCAD図面作成科
アロマ・エステティシャン養成科
ネイリストマスター養成科

7.民間教育機関での職業訓練

離職者等再就職訓練について

東京都では、求職者がこれまでの経験に加え、新たな知識・技術を身に付け、再就職に役立てられる能力を習得するための職業訓練を実施しています。
訓練内容については、就職支援をはじめ、多様な職種に適応できるよう、情報、福祉・医療、営業サービス・事務等の分野を提供しています。
この訓練は、東京都が民間の教育訓練機関に委託して実施します。