個人が投資を始めようとするとき何をするでしょうか。
- インターネットで「個人」「投資」などのキーワード検索をする。
- 個人投資に関する本を買って読む
- 新聞・雑誌で情報収集する
- 「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 」の順位を参考にする
- 親など家族に聞く
- 友人など知り合いに聞く
- 銀行、証券会社の窓口に行って相談する
- ロボ・アドバイザーに入力して、アウトプットを参考にする。
- ファイナンシャルプランナーに相談する
今回はこれらの行動について考えてみます。
1.インターネットで「個人」「投資」などのキーワード検索をする。
実際にインターネット検索すると、出版社の広告やデイトレなどを勧める記事などが出て来るので、自分の求めているものとはかけ離れていることが分かります。これら検索結果を、100、200ト読んでいくと、もしかすると自分の求めているものもあるかもしれませんが、なかなか根気のいる作業です。また、一見魅力的に見えそうなサイトにひっかかったり、落とし穴にはまる恐れもあります。情報があり過ぎるということも、良し悪しです。
2.個人投資に関する本を買って読む
様々な本が並んでいますが、その中で自分に合う本を見つけることは至難の業です。また、具体的な商品、金融機関まで紹介してある本はあまりないので、抽象論で終わる可能性もあります。
3.新聞・雑誌で情報収集する
新聞は広告主に忖度
日経新聞、朝日新聞、読売新聞などを読んできましたが、これらの新聞は、広告主である証券会社に忖度した記事ばかりを書きます。具体的に言うと、投資信託を紹介するときに、ETFをインデックスファンドを除外するのです。その結果、投資信託では、アクティブファンドの記事ばかりを出して、地道に長期運用したい個人投資家にとって最も重要なインデックスファンドの記事を出しません。新聞は、購読者のためのものでなく、広告主のためのものであるということに留意して読むべきです。
雑誌の記事もアクティブファンド中心
雑誌も同様です。株主優待やアクティブファンドの記事は多いのですが、これが本当に読者の個人資産運用に役立つとは思えない内容が多いのです。
アメリカの新聞は購読者向け
インデックスファンドの話題を記事に出しても、特にならないと編集者が思っている状態が続いているようです。しかし、アメリカのUSA TODAYやニューヨーク・タイムスなどの記事は、アクティブファンドでなく、ETF等のインデックス・ファンドが中心ですから、日本でも読者のための記事を増やしてほしいものです。
インデックスファンドの有利性を数値で示してしましょう。
まずは20世紀のS&P500に勝てなかった株式ファンドの比率(%)を見ましょう。約40年間の平均は58勝42敗でインデックスファンドが勝っています。
S&P500に勝てなかった株式ファンドに比率(%) | |
1963 | 87 |
1964 | 81 |
1965 | 35 |
1966 | 8 |
1967 | 24 |
1968 | 33 |
1969 | 77 |
1970 | 89 |
1971 | 33 |
1972 | 85 |
1973 | 84 |
1974 | 47 |
1975 | 71 |
1976 | 56 |
1977 | 15 |
1978 | 31 |
1979 | 20 |
1980 | 53 |
1981 | 37 |
1982 | 38 |
1983 | 60 |
1984 | 78 |
1985 | 74 |
1986 | 76 |
1987 | 76 |
1988 | 59 |
1989 | 82 |
1990 | 64 |
1991 | 45 |
1992 | 46 |
1993 | 40 |
1994 | 78 |
1995 | 85 |
1996 | 75 |
1997 | 90 |
1998 | 83 |
1999 | 54 |
2000 | 37 |
2001 | 54 |
平均 | 58 |
日経新聞2016年9月15日の記事でも次のようなものがあります。
「アクティブ運用ファンドの9割が相場に勝てず――。
S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズは、米国の投資信託の2016年上半期の株式ファンドの運用成績を発表し、こんな結果を明らかにした。大型株、中型株、小型株で運用するそれぞれのファンドの総収益率は、6月末までの1、5、10年間に9割のファンドがS&P500種株価指数、400種、600種の指数の総収益率を下回った。
6月末までの1年間に大型株のアクティブ運用ファンドは85%がS&P500種の総収益率を下回った。5年間では92%、10年間では85%のファンドが指数を下回った。同じような傾向が中型株、小型株のアクティブ運用ファンドでも明らかになった。
株式相場が比較的堅調な相場環境では、わざわざ高い運用手数料を払ってアクティブ運用のファンドに投資するよりも、手数料の低いインデックス・ファンドに投資すれば相場並みの収益を確保できる。
アクティブ運用ファンドの運用成績不振を受け、これらの株式投信からインデックス投信やインデックスに連動する上場投信(ETF)への資金流出が目立っている。アクティブ運用ファンドは、よほどの高い運用成績を確保できなければ投資家離れにつながるだけに、運用担当者にとって大きな試練になっている。」
S&P500のインデックスファンドの圧勝で
バークシャー・ハサウェイ社のCEOで、9兆円の資産家ウォーレン・バフェットは2007年12月19日に10年間の賭けをしました。S&P500インデックス・ファンドの10年間のパフォーマンスが、ヘッジファンド(手数料控除後ベース)を上回れば、バフェット氏の勝ちというものです。ファンド・オブ・ヘッジファンズのプロテジェ・パートナーズ社が挑戦者になりました。そして、その結果がバークシャー・ハサウェイ社の株主への手紙の中で発表されました。結果は一番右側のS&P500のインデックスファンドの圧勝でした。
アメリカの個人投資家はETFに移動
インデックスファンド、ETFがアクティブファンドより良い成績をおさめているのですから、アメリカではどんどんETFに移っている個人投資家が増えています。ところが、日本では、相も変わらずアクティブファンドの記事ばかり書いています。個人投資家を馬鹿にしているのでしょうか。従って、新聞、雑誌の記事はあまり頼りになりません。
ただし、ムック本と言われているものの中には、宣伝広告がなく、インデックス・ファンド、ETFを積極的に推奨している場合があります。従って、広告の無いムック本は頼りにできる場合が多いようです。
<明日に続く>