50歳代、60歳代のための具体的投資(70歳代以上の方もどうぞ) 6

<昨日に続く>

昨日に続いて、対面証券とネット証券の比較から説明します。今日は、3の売買手数料からです。

対面証券 ネット証券
1.低コストのETFの品揃え ある ある
2.低コストのインデックスファンドの品揃え ない ある
3.売買手数料 高い 安い
4.手続き 高齢でもハードルが低い 人によってはハードルが高い
5.営業攻勢 ある あまりない

3.売買手数料

対面証券のカウンター、電話は1%

主要各社の、株式ETFを買う場合の手数料を表にしました。取引金額によって、手数料率は異なりますが、ここでは、中高年がまとまったお金(100万円)を年間1~2回買うことを想定しています。したがって、1日に何回も売り買いするデイトレーダー用の手数料率は念頭にありません。

100万円の取引
野村證券:電話 7,648
野村證券:オンラインサービス 1,048
大和証券:お店 12,650
大和証券:インターネット 9,482
SMBC日興証券:オペレーター 10,752
SMBC日興証券:パソコン、スマートフォン 880
SBI証券 487
楽天証券 535

対面証券は電話1本で発注可能

対面証券の良いところは、電話やお店のカウンターで発注ができることです。私の父親はパソコンはできませんが、90歳代まで電話で株式を注文していました。しかし、それにはコストもかかります。野村証券は7,648円、大和証券は12,650円、SMBC日興証券は10,752円かかります。概して1%前後のコストがかかります。

対面証券のオンラインは0.1%

それに対して、オンラインであれば、野村證券1,048円、SMBC日興証券は880円ですから0.1%です。ただし、大和証券は9,482円もするので、お店より25%しか割引になりません。

ネット証券は0.05%

ネット証券は、SBI証券 487円、楽天証券 535円ですから0.05%程度です。

野村證券などの対面証券会社は、ネット証券会社にコスト面では負けていますが、このコストは買うときと売る時の2回しかかからないコストですから、1%の差があると言っても、10年持ち続ければ、1年あたりに均して0.2%、20年なら0.1%の差にすぎません。

1回だけのコストと煩わしさの比較

このコスト差と、ネット証券口座開設・資産移管・不慣れな取引などのわずらわしさとを比較して、どちらを選ぶべきかという問題があります。私のように還暦を過ぎた人間は、今まで通り、野村證券と取引を続けた方が良いと考えています。現実に、私は3年前に株式ETFを買った後は、何も買っていません。

4.手続き

昭和世代のハードル

SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券などはインターネットでほとんどの手続きをすることになります。昭和の時代に学生時代、青春時代を過ごした人にとっては、これが結構高いハードルになっている場合があります。

例えば口座開設の入力画面では以下のようなことで戸惑ったり、迷ったりすることがあります。

  • 氏名を入力したが、エラーになる。その理由は環境文字を受け付けないから。
  • 口座を特定口座にするかどうかを選ばなければならないが、特定口座の概念がよく分からない。
  • Tポイントを選ぶかどうかを問われるが、どんなメリット・デメリットがあるか分からない
  • 住信SBIネット銀行との取引を問われるが、どうして良いか分からない
  • NISAやiDeCoの申請には時間がかかる

インターネットのハードル

私も、子供のSBI証券口座開設は、隣に座ったり、ズームを使ってアドバイスしましたが、正直に言って中高年の人にとっては、低いハードルでない気がいました。

昭和時代の保険会社、証券会社

昭和の時代に、野村証券に口座を開設したり、保険会社の財形貯蓄に申し込むときには、証券会社のカウンターの担当や、保険会社のおばちゃんに指導してもらいながら、必要書類を作成できたのですが、その感覚でいると、ネット証券は使いこなせません。

中高年にネット証券は不要

しかし現代は、ある程度の手数料を一度払えば、株式ETFを購入できるのですから、中高年がわざわざネット証券を利用する必要は、あまりありません。

ネット証券は何となく不安

また、人によって、ネット証券は、歴史も短く、店舗もないので不安だと考える人もいます。私の連れ合いもその口です。やはり、日本最大の証券会社である野村證券は、それだけで安心感があります。無理をしてネット証券を利用する価値があるかどうかは、人によるでしょう。

5.営業攻勢

対面証券会社を使う場合のデメリットとして上げられるのdが、証券会社の営業攻勢です。野村証券は、ノルマ証券等も言われるように、様々な営業攻勢をかけてきます。

具体的には、次のような商品を営業します。

  1. アクティブファンド
  2. 株式の新規公開・買い替え
  3. ラップファンド
  4. 毎月分配型投信
  5. 社債

などです。

1.アクティブファンド

購入手数料、信託報酬(管理費)が高いので、手を出してはいけない商品です。インデックスファンドよりも名前が魅力的だし、メディアでも頻繁に取り上げられるので、買いたくなる人もいますが、メディアは、証券会社から広告宣伝料をもらっているから取り上げるのであって、個人投資家にとって良い商品ではありません。

2.株式の買い替え 5.社債

私は個別株式に関心がありませんが、売れ残った公開株式などを営業してくることがありました。具体的には、ソフトバンク株、郵政株、トヨタ自動車の社債などです。これらの商品は、個人投資家のためではなく、証券会社社員のノルマ達成のための営業攻勢です。

3.ラップファンド 4.毎月分配型投信

これらの商品は、非常にコストが高い商品で、金融庁から目を付けられています。知識のない人に営業して、買わせてしまうのです。

対面証券で利用すべきなのは、次の商品だけと思ってよいでしょう。

  • 株式ETF(国内、海外)
  • NISA
  • つみたてNISA
  • iDeCo

私自身も、株式ETF(国内、海外)、つみたてNISA、iDeCoを野村証券で利用しています。連れ合いは、NISAも利用しています。

<明日に続く>