50歳代、60歳代のための具体的投資(70歳代以上の方もどうぞ) 11

<昨日の続き>

コロナ禍の財政出動と金融緩和

新型コロナウイルスの影響を抑えるために、世界各国の政府は大型の財政出動を行い、中央銀行は金融緩和をどんどん進めています。しかも、北半球が冬に入って、コロナの感染者は増えるばかりで、さらなる追加の財政出動を行っています。

債券市場とインフレ問題

こんなことを続けていて大丈夫なのでしょうか。大丈夫だと言い切れる人もいないし、ダメだと言い切れる人もいません。少しなら良いでしょうが、やり過ぎると危険です。その境目は状況により変化しますので、どこまでが大丈夫でどこからが危険とは言えません。

不良債務の急増

しかし、債務を返済できない企業が世界で増えています。今後、社債の利率が上がり、長期米国債の利率も上がる可能性がありますが、そうすると、ドル高・円安になり、ついには、日本でインフレの時代がやって来るかもしれません。もともと日本は、新型コロナショック以前にGDPに対して政府の債務が大きいので、急激なインフレになる可能性がありました。

インフレ防衛策としての外国株式投資

私は、そのインフレの影響をできるだけ回避するために、日本株式、アメリカ株式、世界株式に投資してきたのです。できるだけ投資資産を分散する以外に、リスクを減らす方法はありません。日本人だからと言って、日本円だけで、銀行預金や、日本株式を持っているのは極めて危険です。日本銀行や財務省の職員は、定年を迎え退職すると、もらった退職金の円をドルなどの外貨に換えるそうです。日本円のことを一番良く知っているからこそ、日本円の危うさも知っているというのです。

外国株に4分の3を投資

私の投資資産も日本円は全体の4分の1程度で、残りはアメリカ株式を中心として世界の株式に投資しています。

SPY、VOO、VT

外国株式ETFの中で代表的な銘柄を表にしました。外国株式ETFを選ぶ基準は、日本株式ETFを選ぶのと同じく、純資産総額が1兆円以上、信託報酬が0.1%以下です。つまり規模が大きく、コストの安い銘柄です。この3銘柄のうち、私はVTを持っていませんが、VTは世界全体に分散投資している銘柄で、その分散割合を参考にして、世界全体のETFを保有しているので、実質的にVTと同じようなETFを地域別のETFで代用していると言えます。

外国株式ETF

コード 名称 純資産総額(億円) 信託報酬
SPY SPDR S&P 500 343,373 0.0945%
VOO バンガード・S&P 500 ETF 186,029 0.03%
VT バンガード・トータル・ワールド・ストックETF 18,007 0.08%

それでは、この3銘柄の内容を確認します。

⇒ は、私のコメントです。

SPYの名称は、SPDR S&P 500 ETFです。

SPYの基準価格は1993年の44ドルから2021年の378に成長しました。これ以外に、分配金が毎年2%弱支払われています。下の図はSPYの株価チャートです。

SPYは世界最大のETF

  • SPDRはSSGA(ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ)が提供するETFのブランドです。
  • ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは、ステート・ストリート・コーポレーション( State Street Corporation)の資産運用部門です。
  • SPYは、米国における第一号のETFで、現在、純資産総額、流動性ともに世界最大のETFに成長しています。⇒世界最古のETFは、1990年3月にカナダのトロント証券取引所に上場されたTIPS35です。

主な特徴

  • S&P 500®指数の値動きに、経費控除前ベースで概ね連動する投資成果を追求します。
  • S&P 500®指数は、世界産業分類基準(GICS)において定義される全11業種に分散された米国の大型株式で構成される指数です。

ベンチマークについて

S&P500®指数は、米国の上場企業の中から厳選された500銘柄で構成される指数であり、産業グループの分散は24種以上に及んでいます。

ファンド情報   2021年01月13日現在

  • ベンチマーク  S&P 500 Index
  • 設定日     1993年01月22日
  • オプション取引  可
  • 総経費率     0.0945%
  • 基準通貨    USD
  • マーケティング・エージェント  ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ・ファンズ・ディストリビューターズ LLC
  • 販売会社    ALPS Distributors, Inc.
  • 分配頻度    四半期毎

ファンド特性   2021年01月13日現在

  • 3-5年予想一株当たり利益(EPS)の成長率  12.37% ⇒ 少し高めですが、過去27年間の平均は10%ですから、それほど大げさな数字ではありません。
  •  組入銘柄数        505 ⇒ S&P500なのに505銘柄あるのは、一社で複数の銘柄を持っている会社があるからです。
  • 株価純資産倍率(PBR)   4.06 ⇒ 日本より高めです
  • 予想株価収益率(PER)    25.13 ⇒ 日本は15倍が標準と考えられていますので、少し高めです。
  • 時価総額加重平均        $475,482.94(百万米)

ファンド・パフォーマンス(税引き前)

  • 1年間  18.23%
  • 3年間  14.02%
  • 5年間  15.04%
  • 10年間   13.74%
  • 設定来   10.05%

ファンドの組入上位銘柄 2021年01月13日現在

銘柄名           保有株数     組入比率
Apple Inc.        165,892,580       6.51%
Microsoft Corporation     78,479,200       5.09%
Amazon.com Inc.        4,427,028     4.20%
Tesla Inc           7,871,497        2.02%
Facebook Inc. Class A   24,953,536           1.88%
Alphabet Inc. Class A    3,120,765           1.63%
Alphabet Inc. Class C    3,013,231           1.58%
Berkshire Hathaway Inc. Class B 20,201,106       1.42%
JPMorgan Chase & Co.    31,640,840        1.33%
Johnson & Johnson     27,326,202        1.29%

⇒ テスラが、GAFAM(ガーファエム)の間に入り込んできました。

<明日に続く>