50歳代、60歳代のための具体的投資(70歳代以上の方もどうぞ) 17

<昨日からの続き>

ポートフォリオ 2

日本株式ETF25%、外国株式ETF75%

国内株式と外国株式を半分ずつ持つ方法もありますが、資産を分散化させるためには、国内株式の割合を25%に落として、外国株式を75%まで増やすパターンも有力です。VTという世界の株式市場に分散投資するETFの場合、日本の比率は7.2%ですが、25%でもそれより高くなっています。その理由は、日本に住む日本人としては、円を使う可能性が高く、情報も良くとれる日本株式にウエイトを置いて投資することは、自然だからです。

外国株式の地域分散

外国株式を75%まで高めた場合、すべてをアメリカ株式にする考え方と、世界株式に分散させる考え方の二通りあると思います。アメリカ株式はリーマンショックの後、特にGAFAM(GAFAMとは、IT企業のGoogle、Amazon、Facebook、Apple、Microsoftの頭文字の略です。)とテスラの株価上昇が激しく、現在は、多少バブル気味とも言えます。

アメリカ株はバブルか?

しかし、本当にバブルなのか、将来発生している利益を早めに反映しているだけで、2~3年後に利益が追い付いてくるかもしれません。例えば5年前にも、株価が上昇し、このような高い株価が続くわけはないので用心したほうが良い、という見方がアメリカ経済評論家の中にはありました。しかし、アメリカ企業の成長が株価に追い付いて、妥当な株価とされたこともあります。

インド、東南アジアの経済成長

アメリカ以外で注目すべきなのは、新興国の経済成長です。特に、インド、東南アジアは今後かなりのハイペースで成長すると見込まれていますので、その地域の株式にも投資しておきたいという気持ちはあります。ところが、過去10年以上新興国株式ETFであるVWOは株価が上昇していません。これをチャンスと見るか、魅力がないと見るかは、難しい判断です。ただし、それ以外に地域分散という考え方に基づいて、アメリカ以外の世界の国々に投資しておきたいという考え方を、私はとりました。

私の現在のポートフォリオは以下の図のとおりです。

  • 日本株式ETF:1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF)) 26%
  • アメリカ株式ETF:SPY  38%、VOO 5%、野村つみたて外国株投信とDCのうちアメリカ株 5%、合計48%
  • 日米以外の株式ETF:VGK(ヨーロッパ)10%、VWO(新興国)4%、ASX(オーストラリア)2%、合計16%

新興国、金を検討中

ヨーロッパ、新興国の割合は、VTの地域別割合を参考にしていますが、十分に買えていない状態です。この2地域の株式ETFは株価が上昇しないので、あまり買いたいという気持ちになかなか慣れません。一方で、余裕資金があれば、金(ゴールド)のETFにも投資してみたいとも思っています。

具体的ETF

今まで、日本株式:外国株式の比率を、50%50%とするパターンと、25%75%とにするパターンを例示しましたが、この二つのパターンに具体的ETFを当てはめてみましょう。

一つ目がポートフォリオAで、1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))50%、VOO(バンガード社のS&P500)50%です。VOOは野村証券では買えますが、大和証券では買えないので、代わりにSPYが代替案になるでしょう。

日本株式ETFは1306

日本株式ETFの有力候補としては、TOPIX型と日経平均型がありますが、

  • TOPIXの方が市場の実態をよく表していること
  • 日経平均の信託報酬が高いこと

からTOPIX型を選択しました。その中でも1306は、

  • 日本最大のETFであること
  • 信託報酬が0.065%以下であること

から、有望なETFだと考えます。

少額ならVOOの代わりに1557もある

ここで、購入銘柄を少し工夫してみます。1306は東京証券取引所に上場しているETFなので、一般の個別株式と同様に、売り買いができます。一方、VOOは、アメリカのニューヨークにあるNYSE Arcaに上場されているので、夜間取引になります。具体的には、あらかじめ証券会社に購入を申し込んで、翌日以降に購入することになります。つまり、時間差が少しあって、ひと手間かける必要があります。そこでもっと簡単な方法で買うようにします。VOOと同じくアメリカのS&P500に投資するETFの中で、世界最大のものはSPYですが、このETFは1557というコードで東京証券取引所に上場しているので、この1557を購入すればよいのです。

為替手数料、取引量

1557はSPYと同じ内容ですが、少しだけ違う面がありますので、それを確認しましょう。

① SPYはニューヨークで買うことになりますので、円をドルに変換する必要があります。また、為替手数料もかかります。一方、1557は日本で買うので円のまま買えます。

② SPYは、世界最大のETFですから取引量が非常に多いのですが、日本で1557を買う人はかなり少なく、毎日の取引額は1億、2億円程度です。数年前までは数千万円に過ぎなかったのですが、少し増えたようです。1日に1億円ぐらいしか取引されないと、本来の価格から外れて取引される恐れがありますし、大量に注文、売却することが難しくなります。数百万円までの取引なら問題ないでしょうが、数千万円の取引だと少し心配です。

つまり、少額を簡単に取引したいなら1557を、まとまったお金を取引したいなら、SPYを購入する方が良いと思います。

<明日に続く>