50歳代、60歳代のための具体的投資(70歳代以上の方もどうぞ) 18

<昨日からの続き>

ポートフォリオ B

日本株式ETF25%、外国株式ETF75%

もう一つのパターンは、日本株式ETFの割合を25%に下げたものです。

日本株式ETFは1306

選択した銘柄は、1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))です。1306は、

  • 日本最大のETFであること
  • 信託報酬が0.065%以下であること

から、有望なETFだと考えます。

外国株式ETFはVT

外国株式はVTを選びました。外国株式が50%であれば、SPYやVOOを選択してアメリカ一国に投資しても良いのですが、75%まで増えると、さすがにアメリカ一国に集中しすぎてしまい、怖い気がします。そこで、世界に投資するVTを選択しました。VTの中でアメリカの株式が占める割合は56%ですから、これに75%をかけると42%になります。つまり全体のポートフォリオの中でアメリカには42%投資することになります。程よい分散投資と言えるかもしれません。

バンガード社のETFは低コスト

私がこのポートフォリオで選んだVTやVOOは、バンガード社の商品です。バンガード社は、ブラックロックに次ぐ、世界2位の投資信託および上場投資信託(ETF)の提供者で、投資信託とETF以外にも証券サービス、ファイナンシャル・アドバイス・サービス、教育資金サービス、など数々のサービスを提供しています。

ジョン・ボーグル

創業者のジョン・ボーグル(1929-2019)は、世界初の個人投資家向けのインデックス・ファンドを設定した人物であり、幅広く投資家に低コストで投資ができる機会を与えた人物としても知られています。「インデックス・ファンドの父」とも呼ばれている。バンガードは上場企業ではなく第三者株主が存在しないため、ファンドの保有者がバンガードのファンドであり、バンガードのファンドに投資をする投資家がバンガードの保有者になる仕組みで経営されています。この仕組みにより、ファンドの利益は第三者の株主等ではなく、バンガードのファンドに投資をする投資家に還元されることになっています。日本の生命保険会社も同様の趣旨の資本構造になっていますが、残念ながら、利益は社員の給与や、会社の不動産になってしまいました。

以上が、50歳以上の人が投資する場合のポートフォリオです。

次に、どのくらいの金額を投資したら良いでしょうか。

投資金額

投資可能な資金は人によって様々です。ファイナンシャルプランニングによる手法を使えば、

  • ライフイベント
  • キャッシュフロー
  • バランスシート

等を作成するのでしょうが、私はかつて勤めていた会社の研修でこのような作業をしたことがありましたが、役に立たなかったという感想を持っています。その理由は、自分の収入や、社会経済環境はどんどん変わってしまうので、何らかの計画を立てても、1年、2年経つと、役に立たなくなってしまうのです。それよりも、おおざっぱに投資ポートフォリオや投資イメージを常に頭に置いて、それを目標にして日々の生活を送り、必要に応じて修正したほうが実践的だと思います。

投資イメージ

そこでライフプランニングを私が説明するよりも、ざっくりと一つのモデルパターンをご紹介して、記憶できるイメージを持った方が良いと思います。

金融資産2,000万円

最初に、前提として、老後の資金を2,000万円とします。3,000万円ある人は1.5倍、4,000万円の人は2倍を、これから説明する投資方法に掛けてください。

1,000万円は銀行預金または10年変動国債

その2,000万円のうちの1,000万円については、銀行預金または個人向け10年変動国債に預けることにします。銀行預金については、説明の必要はないと思います。

個人向け10年変動国債

個人向け10年変動国債については、財務省のホームページで確認します。

  • 半年毎に適用利率(クーポン)が変わる「変動金利」を採用。
  • 実勢金利の動きに応じて半年毎に適用利率が変わり、そのときどきの受取利子の金額が増減。
  • 仮に3年後の実勢金利の水準が現在よりも上昇したとします。固定金利の場合は、受取利子は3年後も変わりませんが、「変動10年」の場合、受取利子は増えることになります。
  • 「変動10年」のメリット
    変動金利だから、実勢金利が上がれば受取利子が増える。
    最低金利保証(0.05%)があるので安心。

金利変動のイメージは、下図のとおりです。

中途換金イメージ図

つまり銀行預金に置くと、インフレになった時に、インフレの分だけ損をしますが、この変動金利国債なら、全額とはいきませんが66%、約3分の2は国が面倒を見てくれるという商品です。

厚生年金等で賄えるなら国債投資は不要

なお、私は個人向け10年変動国債を買ったことがありません。その理由は、普段の生活費は厚生年金、確定給付年金、財形年金、ETFの分配金で賄っているので、銀行預金には最低限の生活資金を置き、それ以外の資金は全額ETFで運用しているので、その方が分配金や株価上昇のメリットを受けられるからです。もし、数百万円単位で臨時支出の必要があった場合には、1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))を必要額だけ売却して、現金化することにしています。

国債のリターンは0.05%、ETFは6%

ETFの期待リターンは6%ですから、銀行預金や国債で運用するよりも圧倒的に効率が良いのです。しかも、インフレの場合には、株価もその上昇率に応じて上がるだろうと考えています。ただし、この方法は、厚生年金などで普段の生活費を賄える場合にとれるので、それだけでは不足して、金融資産を取り崩しながら生活する必要のある場合、通常は株式ETFのようなリスク資産は、半分程度にした方が、精神的に安心でしょう。

<明日に続く>