老後のために40代で何をすべきか

生活に追われる40代

老後のことを考えるのは、50代では遅すぎるかもしれません。しかし、40代は、生活費に加えて、住宅ローンの返済、子どもがいる世帯では学校や習いごとにかかる教育費、各種保険料など、出費の多さに悩んでいる人も少なくありません。中にはご両親の介護にたずさわっている方もいらっしゃるでしょうし。家庭内、会社、学校での人間関係のトラブル、学校の成績の悩みなどもあるかも知れません。日々の生活に追われて、将来のための貯蓄どころではない、という人も多いでしょう。

40代のお金に関し、金融広報中央委員会(政府、日本銀行、地方公共団体、民間団体等が広報活動を行う組織)が以下のように広報活動をしています。


これからの収入の確保を考えておこう

会社員の方は、50歳代になると役職定年などで収入がダウンするケースもあり、一般的に右肩上がりの収入が期待できなくなってきます。さらに早期退職などで割増退職金が支給されるものの、希望どおりには再就職できないなど、その後の収入が激減するケースも考えられます。

老後生活を設計する

  1. 退職後の生活費を見積もる
  2. 年金の見込金額、退職金を把握する
  3. 60歳時点の目標額を決める

この図では、自助努力で準備したい金額を計算します。夫が85歳、妻が90歳で死亡すると想定して、60歳から85歳までに夫婦2人で希望する老後資金月額を35万円に設定しました。60歳から65歳までは、公的年金の受け取りがないため、自助努力で月25万円準備します(自助努力部分①。月25万円×12ヶ月×5年=1,500万円)。65歳から85歳までは、公的年金が月25万円(夫17万円+妻8万円)支給されます。希望する老後資金月額を35万円に設定していますので、60歳から85歳まで、退職一時金1,800万円を月6万円ずつ取り崩すほか、さらに月4万円が必要となります(自助努力部分②。月4万円×12ヶ月×25年=1,200万円)。夫が85歳で死亡後は、妻が一人で生活するために必要な月額として20万円を設定しました。夫死亡後、妻が90歳で死亡するまでは、夫の遺族給付+妻の老齢給付で月額14万円支給されます。妻が一人で生活するために必要な月額として20万円を設定していますので、さらに月6万円が必要となります(自助努力部分③。月6万円×12ヶ月×5年=360万円)。その結果自助努力部分①(1,500万円)と②(1,200万円)と③(360万円)の合計は、3,060万円となります。

老後資金準備のための制度

40歳代は、老後生活に入るまで約20年あります。始める時期を早くするほど、1回あたりに積み立てる金額は少なくて済み、精神的にもラクに感じられるので、すぐにでも始めてみてはいかがでしょうか。

長期間かけて有利に老後資金の準備を行うための制度には次のようなものがあります。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは掛金を60歳になるまで運用し、原則60歳以降に、保有する金融商品を換金して受け取るものです。年間の掛金を所得から差し引くことができる(所得控除)ので、所得税・住民税を軽減しながら老後資金を準備することができます。

NISA

NISAは毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になる制度です。その中でも「つみたてNISA」は、投資信託商品などを定期的に積み立てることで、最長20年間じっくりと老後資金を準備することができます。運用収益が非課税となる点が大きなメリットです。


アメリカでも40代は老後の準備のための重要な時期です。USA TODAYの2022年5月6日の記事で勉強しましょう。

不安のないリタイヤに向けて準備をしたいですか?それなら、40代に次にあげる3つの手を打つことです

多くの人はリタイヤの間に生活するために十分なお金があるかどうかを心配します。

インフレのせいで生活費は最近急上昇しました。今見ている急上昇は極端ですが、支出は現実に長い時間をかけて上がる傾向にあります。したがって、もしあなたが40代で、リタイヤまでに数十年あるとしたら、最終的にいくら必要になるかを予測するのは難しいかも知れません。

リタイヤが遠いことなのに、ある程度わからないことに取り組まなければならないかもしれませんが、お金に関して長期的に安心できるように準備する手立てを打つことも可能です。そして、もし40代の間にこれらの手を打てば、いったんリタイヤが近づいたときに、それを評価するでしょう。

1.IRA(Individual Retirement Annuity個人退職年金)を最大にする

IRAを40代で最大にすると、退職貯蓄目的で月500ドル、年6,000ドル貯蓄することになります。確かに、それは誰にとっても簡単なことというわけではありません。しかし、もしその目標をあきらめないのであれば、将来のために多額のお金を貯蓄できます。

この点に関して順調に進める良い方法は、自動貯蓄の機能を提供していくれるIRAを探して、給与振込口座から毎月500ドル送金してくれるように設定するのです。もしこのプロセスを自動化すれば、500ドルを衝動的に使ったり、あちこちで毎月の掛け金になるはずだったお金を失ってしまうことはなさそうです。

2.配当株に投資する

配当株の素晴らしいところは、お金を作る機会を二つ提供することです。まず、受け取る配当金を、40代では再投資して成長を加速させることができ、いったんリタイヤすれば分配金として引き出して、収入として使えます。

それに加えて、着実に配当金を支払う会社はしっかりとしていて成長可能性があり、安定した事業であることが多いのです。したがって、配当株を多年にわたって保有すれば、その価値はやがて成長する可能性があります。

3.医療貯蓄口座(HSA:health savings account)の積み立て開始

医療費はリタイヤ後の支出の中で、最大ではなくても、最大の中の一つになるかも知れません。それだからこそ、あらかじめそれに備えておくことが重要なのです。HSAの資格があるのであれば、利用する価値があります。

HSAの適格性は、高い税額控除を使える健康保険かどうかで決まります。しかしHSAの素晴らしいところは、三つの面で税制上優遇されていることです。掛け金は無税、投資所得は無税、条件を満たした医療支出のために使われる場合、引き出しも無税です。

HSAに関するもう一つの素晴らしい点は何でしょうか?65歳を超えると、伝統的なリタイヤプランのように扱うことができ、ペナルティなしで、いかなる目的でも引き出せることです。医療費でない引き出しであれば税金がかかりますが、伝統的IRAからの引き出し同様の税金と何ら変わりません。

以上が拙訳でした。アメリカは日本ほど国民健康保険や厚生年金がしっかりしていないので、個人が手当てしなければいけない部分は大きいのですが、日本もイデコ、NISAなどをできるだけ活用すべきです。