厚切りジェイソンさんの投資方法 下

<昨日の続き>

もっとお金の話をしよう

ーわかりました、ありがとうございます。日本ではですね、そもそも身の回りのお金の話をすること自体がはばかられるというか。あんまりしないようにするというかですね、私はこんなふうに投資していますとか、あまり人前で話したりしないんですけど。

ジェイソン:ああ、じゃあやめとこうか!

ー(笑)アメリカの人って違うんですか?

ジェイソン:会社の標準制度に参加したのが始まりと言ったんですけど、「どんな制度に参加していますか」みたいなレベルでしたら話し合っていましたよね。具体的な金額とかという話ではないですけど。「将来のために投資しないといけないですよね」みたいなレベルだったらやりますし、どういう制度、どういうやり方・考え方でやっているのかとか、投資先をどう決めているのかとか、話し合ったりしていましたね。

あと、うちのお父さんとかもそういう話はしていたんですけど、「今の財産はこの金額ですよ」とかじゃないですよ。「将来のために定期的にこのようなことをやっています」みたいな話のレベルでしたね。

ー親子で話したりするんですか?

ジェイソン:そうですね。やっていましたね。全員が全員ではないですけど、これをやる家庭とやらない家庭で豊かさが分かれると思うんですよ。

ーなるほど。

ジェイソン:全然やっていないところもいっぱいあるんですけど。やるところもあります。で、やるところは知識とノウハウを引き継いで次の世代にさらに良い、簡単に暮らしていけるようなシステムを生んでいくんですね。

ージェイソンさんは、お子さんがお小遣いを貯めると、それに利子をつけてあげる、ということもしているそうですね。

ジェイソン:そうですね。まずは、支出を把握することの大切さを伝えるために、子どもも例えばお年玉とかをもらったときも、誰から何円もらったのかとか何日にもらったのかと、使うときも今日はこれで何円使ったのかを全部記入してもらっています。僕も実際にやっていますし、自分の生活費とかを1円単位で、入った収入はどこにいっているのかすべて把握していますし、子どももそれをやってほしいんですね。

で、そのメモ帳に残っている残高に対して僕は年末に10%の利子を出しますけれど、これは「お父さんからのお年玉ですよ」じゃなく、これは「自分が計画して頑張ってお金のことを考えた資産運用の利益ですよ」と説明します。で、実際に大人になったら同じような仕組みで資産が運用できたらいいなと思っていますね。

「金融教育」のポイントは?

ー日本でも金融教育が大事だと言われて、今高校の教科書でも資産運用的なことを勉強する科目もできたんですよね。

ジェイソン:僕も1つの授業を教えたことがあります。

ーそうなんですか。

ジェイソン:いいことですけど、何でもかんでも学校に任せるのはやめたほうがいいと思いますね。足りてないものがあると思っている人がいらっしゃれば、それは家庭内で補足すべきだと思いますね。「学校がやってくれなかったから知らない」とかじゃないんですよ。「学校がやってくれなかったから代わりにやってあげました」にならないと、結局何かが足りてない状況が続くんですね。で、学校にとんでもない量が任せられているんですよね。最近ですと英語とかプログラミングとか金融教育とか、どんどん同じ先生がこれもこれもで無理があると思いますよ。

ー金融教育のポイントはどういうことを教えたらいいですか。

ジェイソン:基本その家の収入がどこに行っているのかを管理するための家計簿というんですか、その作り方、見方、測り方とか。

で、税金の制度。税金はどうなっているのかとか、何をすれば税金を払うのかとか。あと、資産運用の基礎、「収益性・安全性・流動性」のこと。

多分いちばん大事かもしれないのは借金の危険性ですよね。誰か教えてあげないと、いっぱい借金作ってしまう若者が多いんじゃないかと。特に18歳から成人するようになって、18歳から金融ローンとか借金作れるようなことになったら、もう分からないままそういうものに手を出してしまうとかなり人生に影響するから、早めに借金の仕組みと実際にいくら合計払うのかを把握するべきだと思います。

「投資」の先に何がある?

ー投資をする人が増えていったら、日本の社会って何か変わりそうですか?

ジェイソン:今本当に賃金が何十年も上がっていないけど、物価が上がっているところで生活が苦しくなってきている家庭が多いと思うんですよ。それが少しだけでも緩和できることにつながると思いますね。まず。家計がちょっと豊かになっていけば、笑顔が増えるんじゃないですか。

ーそれは自分が働くだけでなく、自分が働いたお金にも働いてもらって、さらにお金を満たすようになったらゆとりができるっていう。

ジェイソン:そうですね。あと支出が自分にとって幸せにつながるかを判断したうえで、無駄遣いをやめて投資していくと、必要なお金が減るし、余るお金が増えるから。で、増えた分がさらに増やしていくから、ということでいいと思いますね。

ー投資をずっと続けるとして、ずっと続けていつ使うんだろうと思うんですよ。

ジェイソン:何で使わないといけないんですか?お金があるからこれを使いなさい、それは無駄遣いの定義じゃないですか。そうじゃなくて、将来にどんな恵まれた機会が来るのか分からないけど、将来の人生の選択肢を増やすためにお金を作っておくのに越したことはないと思いますね。

ーなるほど。ここぞというときのためにお金がある状態をつくる?

ジェイソン:そうですね。例えば将来は新しい会社を立ち上げたいとか、将来娘たちがお店を開きたいとか、海外留学したいとかわからないですよ。わからないから。将来はこういうことがやりたいです、それを目指して投資しているという人がいればそれは全然アリなんですけど。

ージェイソンさんが過去の資産運用で一生働かないでも暮らせるほどお金はありますという話があって、今まだ働いていらっしゃるっていう。働くということはどういうことなのか?

ジェイソン:「一生働かなくても暮らせる」と言うと、とんでもない大金とかで考えている人が多いと思いますけど、そういう話ではなく、まずは自分が満足できる人生を、満足できる水準を決める。で、たまたま計算したら今満足できる人生に必要とする年間生活費の25倍以上があるという計算で、それは一応そういう状態になっている。

だからといって仕事は楽しんでいれば、やりがいを感じているのであれば、やめる必要はないですよね。「お金があるから何で使わないのか」とか、「お金があるから何で働くんですか」とか、同じように聞こえるんですけど、別にそれがあるからやめる必要もないし、楽しんでいれば、やりがいや何か達成感を感じているのであればやってもいいでしょ。何が悪いんですか。Why?だからお金じゃない基準で仕事をする開放感にもなりますし、「これは嫌だけどしょうがなくお金のためだけにこういう仕事をやるか」とかじゃなくて、「本当にやりたいかどうか」を考えて良くて。そうするとちょっと仕事に対する考え方が変わっていくと思うんですよ。

ーなるほど。どうもありがとうございました。

ジェイソン:どうですか?年間支出の25倍の財産があったら働き続けますか?

ーえ?私ですか?うーん。そのとき考えます。

ジェイソン:でも絶対続けると思うんですよ。これを達成したから人生ぼーっとして何もしないとなるとそれはつまらない人生ですよ。それを選ぶ人はいないですよ。何もしない、静かな部屋でひとりでずっとこもりますって。お金があるだけの理由で。

そうじゃなくて、今何かお金以外の理由で働いていると思いますよね、多くの人が。もしかしたら仕事に対する考え方が変わるとか、もう少し気楽に頑張れるとか、本当はお金にならないけどすごい興味を持っている団体に力を注ぐとか、いろいろ基準はあるんだけど、何もしないということにはならないと思いますよね。

【2022年9月16日放送】