住宅ローンを考える:40年ローン、80歳まで、変動・固定金利

東京では億ションが当たり前の時代になり、住宅は庶民の手の届かないところに行きつつあります。こんな状態はおかしいと業者は考えていますが、そんなこと顧客に言わずに、知らん顔して住宅ローンを貸し続けています。恐ろしいですね。

2023年5月20日の文化放送の大人ファンクラブで大垣尚司が話しています。


住宅ローンは組めるが、地方銀行が主体で40年、50年のローンが当たり前になって、80歳までしか組めない。35年でも長いと言ってきたが、80歳までというのは、長いとか長くないとかいう前に、無理ですようね。

仕事柄時々頼まれて、住宅メーカーの営業の研修を頼まれることがある。「あんたら、40年ローンを勧めているだろう」というと「はい」というので、同じ子に、「自分だったら借りるか」と聞くと、「いいえ」と返事する。同じ会社にそんなに長くいるかもわからない。だから、銀行が悪い。常識があったら借りない。

青山学院大学卒業でも、期限の定めのない雇用、いわゆる正規雇用だからといって、40年勤めない、大体5~6年で転職する。退職金は40年勤めないとちゃんともらえない制度。退職金は20年勤めたところから税制上有利になり、急に上がる制度になっている。5年くらい居てもあまりもらえないので、40年働くのに比べて、5年を8回働くのは、確実に不利。会社としては、退職金を他の金融機関に預けて増やすくらいだったら、給料を少し減らして、それを会社に預ければ、もっと高い利回りで運用してあげる仕組み。5年しか働かないと退職金は減ってしまうわけですから、退職金で住宅ローンを返せるという住宅会社の営業トークは、嘘です。


住宅ローンは、アメリカでは固定金利が多いのですが、日本では変動金利が多い状況です。不動産会社は、とりあえず低コストで借りることのできる変動金利を勧めますが、それでよいのでしょうか。2023年2月21日のTHE SANKEI NEWSを見てみましょう。


「変動か固定か」 住宅ローン金利引き上げで悩み急浮上 専門家の意見は?

住宅ローンは、固定金利か変動金利か―。住宅購入者が直面するテーマが、日本銀行の金融政策の行方や日銀総裁人事にも絡んで注目されている。金利の先行きを不安視し、ローンを借り換えるべきか悩む声も聞かれる。賢い選択のためのポイントを専門家に聞いた。

「固定と変動、どっちがいい?」「固定に借り換えた方がいいの?」

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)の坂口猛さんには、住宅ローンに関するさまざまな相談が寄せられるが、目下の話題は、金利上昇への備えに関するものだ。

短期の金利をほぼゼロに誘導する「ゼロ金利政策」の恩恵を受け、日本の住宅ローンは長らく超低金利が続いていたが、昨年12月に日銀が長期金利の変動幅を引き上げたことで、固定金利を引き上げる銀行が相次いだ。

さらに2月14日、次期日銀総裁に元日銀審議委員で経済学者の植田和男氏を起用する人事案が国会に提示され、黒田東彦総裁のもとで続いた超低金利政策が終焉(しゅうえん)し、住宅ローン金利が上昇する可能性も指摘されている。

金利を選ぶときの注意

住宅ローンには、大きく分けて返済期間中、金利が変わらない「固定型」、半年ごとに見直される「変動型」、10年間など一定の期間の金利を固定できる「固定金利期間型」がある。変動は、毎年4月1日と10月1日に金利が見直され、翌々月から適用される。

変動は固定よりも金利が低く設定されており、三菱UFJ銀行の金利を例に挙げると、2月に借り入れた場合、固定(31年~35年)金利の年1・88%に対し、変動は年0・475%としている。

この金利で20代、年収450万円の会社員が3000万円を35年の期間、ボーナス時の増額なしで借り入れた場合でシミュレーションすると、事務手数料などの諸費用を合わせ、固定では総額が約4184万7220円となり、月々の返済額は9万7541円に。変動の場合は、金利が変わらなければ約3344万8900円となり、月々の返済額は7万7545円となる。

日銀の長く続いた金融緩和でいまは足元の金利が低いため、実際に住宅ローンでも変動金利を選ぶ人は多い。住宅金融支援機構が2021年10月から翌年3月までに住宅ローンの借り入れを行った人を対象にした「住宅ローン利用者の実態調査」によると、利用者の73・9%が変動型を選び、前年より6・5%増加。固定型は8・9%(前年は10・9%)、固定金利期間選択型は17・3%(同21・7%)だった。また、変動型を選んだ人のうち、74・8%は金利が低いことを理由に選んだと回答した。

 だが、金利タイプを選択するにあたって、注意しなければいけないことはたくさんあると専門家は注意を促している。

坂口さんによると、各銀行は、金利の“定価”となる「店頭金利(基準金利)」と優遇や割引分を差し引いた実際の金利「適用金利」を設定している。「銀行の企業努力で実際の金利は下げられているが、変動の場合は半年ごとの金利の見直し、固定金利期間選択型は、期間終了後の金利に注意する必要がある」(坂口さん)という。坂口さんは、「今後の金利はどうなるか分からないが、例えば1年後に0・1%増、5年後に0・5%増など、変動の金利が上がった場合をシミュレーションした上で、固定との差額を確認し、検討することが重要」と語る。

ニッセイ基礎研究所の金融調査室長、福本勇樹さんは、固定と変動のメリットとデメリットは相反の関係にあると語る。それぞれのメリットの代表的なものとして、福本さんは「変動は、金利上昇がなければ、返済額が小さくて済み、固定は、金利が動かないので、将来の見通しが立ちやすい」と指摘。一方のデメリットは、「変動は将来、金利が上がる可能性があるので、支払額が決まらない。固定は、利息支払いが大きく、元本の返済スピードが遅い」と説明する。

借り換え判断の難しさ

金利上昇に対する防衛策の一つとしては、新たな金融機関でローンを組み直し、返済中のローンを一括で返済する「借り換え」という手がある。借り換えの効果があるのは一般的に「住宅ローンの残高が1000万円以上」「借り換え後の金利が1%以上低くなる」「残りの返済期間が10年以上」の場合といわれている。

ただし、借り換えには手数料や保証料などが必要となるため、「費用倒れ」になる場合もある。また通常、金利は変動よりも固定が先に上がる。固定金利は、市場の予想や期待が反映される長期金利(新発10年物国債の利回り)と連動し、変動金利は金融政策に基づいた短期プライムレートと連動しているので、一般的に固定金利が先に上昇する。そのため、福本さんは「変動が上がってから固定に借り換えると返済負担が大幅に増える可能性もある」と指摘する。

変動がお得? 保守的に固定を選ぶ?

住宅ローン金利への影響がどうなるかは日銀の今後の動向次第だが、住宅市場動向の分析を行っている「LIFULL HOME’S総研」のチーフアナリスト、中山登志朗さんは、日本経済が置かれる状況から、大幅な利上げは難しいと考える。

中山さんは「日本は国全体の供給力より需要が弱いGDPギャップ(需給ギャップ)の解消を引き続き目指す必要があり、金利を上げて、さらにモノを売れにくくするのは考えにくい。大幅な利上げをした場合、物価上昇と景気悪化が同時に進む『スタグフレーション』につながる恐れもあり、金利を大きく上げることはできないのではないか」と分析。そのため、現状では変動金利を選んだ方が、返済総額を抑えられる可能性が高いとの見解を示す。

一方、福本さんは、欧州でもインフレ抑制のため大幅な利上げに踏み切ったように、将来の金利政策を予想するのは難しいとした上で、「金融リテラシーがあり、家計管理や繰り上げ返済などの意思決定ができるのであれば、変動でも問題ないが、家計管理に時間をかけられなかったり、自信がなかったりする場合は、固定や固定金利期間選択型にするのも一つの考え方だ」とアドバイスする。

マイホームは人生で最も大きな買い物であり、住宅ローンに関わる悩みは尽きない。いま住宅ローンを組んでいたり、これから住宅ローンを検討する人は、国内外の景気や経済の状況、金利を左右する日銀や政府の政策の動向に注意を払うことが重要だ。年齢や収入、家族構成などによっても状況は異なるため、自らの家計を冷静に分析しながら自分に合った借り方を模索する必要がある。