投資信託商品の最近の動向を確認します。
資金流出ランキング
日本株の利益確定
流出額の1位、2位を占めているのが、日経225関連です。最近の日本株上昇を受けて、利益を確定したい人が多いのかどうかは、私にはわかりません。私の場合には、生活費日に当てるため、必要な時点で、その時に株が安くても高くても売るパターンの投資家で、国内の保有銘柄はTOPIXのETF(1306)だけですから、日経225のファンドを売ることはできません。日経225のファンドを売る人は、その資金をどうするつもりなのでしょうか。私のように生活資金としてすぐに使う、現金として保有して将来に備える、他に投資したい商品があるのですぐに投資資金に回す、などが考えられますが、利益を確定するという言葉は抽象的でよくわかりません。
下落するアクティブファンド
第3位は、A・バーンスタイン・米国成長株投信Dですが、流出額が大きい理由は、この銘柄の場合、人気が下落したためでしょう。その理由は、証券会社の営業力、手数料が高い、信託報酬が高い、毎月分配型なのに基準価格が下落した場合には分配金が減ったり、ゼロになったからでしょう。逆に言うと、米国株の低コストのインデックスファンドは、この流出額ランキング表には載ってこず、流入額を増やしているようです。この商品の流出額が大きい理由の一つは、上記のように証券会社等の営業によって、他の高コスト商品に買い替えたからでしょう。
低コストインデックスファンド
利益を上げたい金融機関は、低コストインデックスファンドを積極的に営業することはせず、高コストアクティブファンドを頻繁に売り込むことで、購入時手数料を稼ごうとします。
10年で2倍になるか、1.3倍にしかならないか
外国株式アクティブファンドの年率リターンを7%として場合、信託報酬で2%、購入時手数料で2%のコストがかかっても、残り3%が顧客の手元に残れば、顧客は少し得をした気になります。しかし、低コストインデックスファンドを購入していれば、7%のリターンがほぼ丸々手元に残ることを顧客は知らないのです。そして、7%のリターンを10年間放っておくと、元金の2倍に増えますが、3%では1.3倍にしかなりません。金融リテラシーがないことは悲しいことです。
順位 | ファンド名 | 資金流出(億円) | 購入時手数料(%) | 実質信託報酬(%) |
1 | 日経225ノーロードオープン | -389 | 0 | 0.55 |
2 | インデックスF225 | -251 | 2.2 | 0.572 |
3 | A・バーンスタイン・米国成長株投信D | -200 | 3.3 | 1.727 |
4 | GESGハイクオリティ成長株式F(H無) | -192 | 3.3 | 1.848 |
5 | 楽天日本株4.3倍ブル | -164 | 3.3 | 1.243 |
6 | A・バーンスタイン・米国成長株投信B | -156 | 3.3 | 1.727 |
7 | MHAM株式インデックスファンド225 | -151 | 2.2 | 0.55 |
8 | ストックインデックスF225 | -138 | 2.2 | 0.517 |
9 | ブル3倍日本株ポートフォリオ6 | -124 | 2.2 | 1.023 |
10 | A・バーンスタイン・米国成長株投信C | -123 | 3.3 | 1.727 |
資金流入ランキング
営業努力によるアクティブファンド
1位、2位の世界厳選株式オープン<為替Hなし>(毎月)、スパークス・企業価値創造日本株ファンド、新規の高コストアクティブファンドです。金融機関の営業担当が売り込んで、金融リテラシーのない顧客が、知らずに買ってしまう構図が目に見えます。これらの商品は数年たつと、流出額上位にランクされていくのでしょう。
テーマ型投信を問題視
今年の経済財政諮問会議(骨太の方針)でも、以下のようにこのことが問題視されています。
「日本の資産運用会社は銀行や証券会社など金融大手のグループ会社が多い。人工知能(AI)やロボット関連など流行に関連したテーマ型投信など、親会社が売りやすい商品設計に傾きがちだと指摘される。
改革プランでは、中長期的な資産形成に適した金融商品が生まれるように、新規参入や商品開発力の強化を促す。」
低コストインデックスファンド
一方で、3位、5位、8位に、
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール)
- eMAXIS Slim 米国株S&P500
- 楽天・全米株式インデックス・ファンド
の低コストインデックスファンドが入っています。
順位 | ファンド名 | 資金流出(億円) | 購入時手数料(%) | 実質信託報酬(%) |
1 | 世界厳選株式オープン<為替Hなし>(毎月) | 662 | 3.3 | 1.903 |
2 | スパークス・企業価値創造日本株ファンド | 542 | 3.3 | 1.573 |
3 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール) | 390 | 0 | 0.1133 |
4 | アクセラレーションジャパン2305(限追) | 381 | 3.3 | 1.133 |
5 | eMAXIS Slim 米国株S&P500 | 317 | 0 | 0.09372 |
6 | ピクテ・バイオ医薬品F(毎月決算)ヘッジ無 | 153 | 3.3 | 2.09 |
7 | SBI 日本株3.8ベアⅡ | 126 | 2.2 | 0.913 |
8 | 楽天・全米株式インデックス・ファンド | 123 | 0 | 0.162 |
9 | 楽天日本株3.8倍ベアⅡ | 122 | 3.3 | 1.243 |
10 | ダイワ・US-REIT・オープンBコース | 121 | 3.3 | 1.672 |
純資産総額ランキング
購入時手数料が0%で、実質信託報酬が0.2%未満の銘柄が4銘柄があります。現在は、1位、3位、5位、6位ですが、来年には上位4位までを独占しそうです。
順位 | ファンド名 | 資金流出(億円) | 購入時手数料(%) | 実質信託報酬(%) |
1 | eMAXIS Slim 米国株S&P500 | 21,732 | 0 | 0.09372 |
2 | A・バーンスタイン・米国成長株投信D | 18,900 | 3.3 | 1.727 |
3 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール) | 11,505 | 0 | 0.1133 |
4 | ピクテグローバルインカム株式F(毎月分配) | 10,285 | 3.85 | 1.81 |
5 | 楽天・全米株式インデックス・ファンド | 9,450 | 0 | 0.162 |
6 | SBI・V・S&P500インデックスF | 9,382 | 0 | 0.0938 |
7 | GESGハイクオリティ成長株式F(H無) | 9,292 | 3.3 | 1.848 |
8 | GSテクノロジー株式ファンド B(H無) | 7,736 | 3.3 | 2.09 |
9 | A・バーンスタイン・米国成長株投信B | 7,653 | 3.3 | 1.727 |
10 | ダイワ・US-REIT・オープンBコース | 7,370 | 3.3 | 1.672 |