金と星

資産運用と天文学

今日のテーマは資産運用とあまり関係がないように思えるかもしれませんが、裏では結構影響しているというお話です。

安田講堂での講演会

東京大学理学部が安田講堂で開催した公開講演会「星々が開く理学の扉」を聴いてきました。

この講演会はだれでも聴講可能でした。

テーマは次の3つです。

  1. 連星中性子星合体からの重力波検出
  2. 太陽系の最果てを探る
  3. 謎の天体の魅力

連星中性子星合体で生まれるゴールド

太陽などの恒星は水素などを原料として核融合などを繰り返します。そして最終的には中性子星になります。質量が太陽ほどの中性子星でも大きさは縮小して、直径が20Kmほどになります。太陽の直径は地球の109倍です。中性子星の密度は太陽のの10の14乗以上もあるとされています。ここまで来ると、具体的なイメージがわきません。この中性子星が、2個連なっている場合に、最終的に合体することがあります。中性子星では、核融合で作られる最も重い元素は鉄ですが、中性子星の合体においては、もっと重い元素である、金( gold )も形成されます。(ここまで来てやっと資産形成に関係してきました。)

数学、物理学の専門家が証券会社等に就職

このような理学部の研究は、数学や物理学の分野で天才的な人たちが日夜励んでいます。しかし、今回講演した教授や准教授は、この分野では極めて一部の人たちで、残りの人たちの中にはメーカーやIT関係の企業以外に金融関係の企業に就職する人も数多くいます。東京大学大学院の物理学専攻の就職先を見ますと、野村證券、ゴールドマンサックスなどの証券、金融機関が並んでいます。

アクチュアリー、アナリスト、コンサルタント

職種としては、アクチュアリーがアナリストが多いそうです。アクチュアリーは統計と確率によってリスクなどを計算します。保険会社、経営コンサルティング会社などに就職します。アクチュアリーやアナリストなどは給料が高く、東大の教授を上回る人も多いでしょう。

アポロ計画の研究者が金融工学で活躍

また宇宙の話に戻ります。1961年にソ連のガガーリン少佐は世界初の有人宇宙飛行に成功しました。これに対抗して、アメリカの大統領ジョン・F・ケネディが、1960年代中に人間を月に到達させる発表して、アポロ計画が始まりました。そして、1969年7月20日、アームストロング船長などがアポロ11号で月面に着陸しました。しかし、宇宙開発には膨大な国家予算が必要で、いつまでも続けていられるわけはなく、その後は予算縮小のため、研究者を大量に解雇したのでした。解雇された研究者の中には、タクシーの運転手になった人もいましたが、ウォール街で数学、物理の知識を生かした人もいて、金融工学が急速に発達しました。そして、それが、2008年のリーマンショックなどにもつながっていきます。

このようにしてみると、宇宙と金融、資産運用は少なからず関係があることが分かります。