私の確定拠出年金とつみたてNISA2022年10月

半年ぶりに私の確定拠出年金とつみたてNISAを確認します。この二つは、全て外国株式で運用しているので、同じような動きです。

原資600万円が2000万円に増加

DC(確定拠出年金)は企業型で、全額を野村DC外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAIで運用しています。2000年代初めのスタート時点では実額で600万円でしたが、リーマンショックの時に3分の2に急落し、その後上昇して現在は指数で326,金額で2000万円を上回っています。今年に入って、指数が344になったこともありますが、ほぼ横ばいというところです。来年か再来年には再上昇するでしょうから、楽しみに待っています。受け取りは60歳からできますが、できるだけ遅らせて75歳から受給開始する予定です。

取得価額188万円が274万円に増加

2018年のつみたてNISA制度開始から、野村つみたて外国株投信で毎月33,000円ずつ積み立てています。今となっては、この銘柄を選んだことは失敗でした。その理由は、他のインデックスファンドが低コスト化を図ってしのぎを削っている中で、この銘柄だけが約4年間半、信託報酬を引き下げていないのです。かといって、いまさら、ネット証券で再スタートする気もしないので、このままにして、岸田政権の資産所得倍増プランで野村證券がどう動くかを見極めたいと思います。

現在は、取得価額188万円に対して評価額が274万円ですから、86万円プラスになりました。

年率リターンは、昨年は10%でしたが現在は8.2%です。

米国株安と円安が相殺

これらのグラフだけ見ると、2022年は横ばいで推移しているように見えますが、現実にはアメリカの株式相場が2割以上落ち込み、それを円安がカバーしたという図式です。アメリカの株式は今後1~2年の間に反転上昇するでしょうが、円安がどうなるかは分かりません。

このことについて、ダイヤモンド・オンラインの野口悠紀雄の2022.10.27の意見を勉強します。


日銀は長期金利抑制をすぐにやめよ、円安で日本が壊れる

円ドルレートついに151円台 円安で日本の国力が疲弊する

円ドルレートが21日には一時151円台と32年ぶりに安値をまた更新した。その後、円買い介入がまた行われ、少し円高に戻しているが、効果は持続しないだろう。

急激に進む円安は、日本経済と日本人の生活に甚大な悪影響を及ぼす。第1は、物価高騰が収まらないことだ。

仮にドル建て資源価格が落ち着いても、円安が進めば輸入物価が上がり、それが転嫁されて消費者物価が上がる。国民の暮らしは困窮し、ガソリンや電気・ガスの「円安補助金」で防衛費並みの巨額の対策費が必要になる。

大企業は原価の増加を転嫁でき、輸出の売り上げが膨らんで利益が記録的な水準にまで増えているが、零細企業は価格交渉力が弱いため、原価の値上がりを売り上げに転嫁できず、このため、利益が大幅に落ち込む。

こうした格差は法人企業統計調査にはっきりと現れている。

第2は、日本の国際的地位の低下だ。ドル換算した日本の賃金が低下するため、海外からの労働力や高度人材を日本に招致するのが困難になる。フィリピンの介護人材などが他国に流れ、日本の有能な人材が海外に流出する動きが目立ってきた。

この流れは日本の長期的な成長力を著しく低下させるだろう。

懸念されるのは、第3キャピタルフライト(資本逃避)が起きる危険だ。

日本人が自国の通貨を見限り、資産を外貨建てで持とうとする。このため、国内での資金調達が困難になる。そして、円安がさらに進む。

そうなれば日本経済はいよいよ崩れてしまう。

日銀が金利抑制を続ける限り介入効果も打ち消され円安進む

なぜ円安が進むのか?

それは、日米金利差が拡大しているからだ。

FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)が急速に利上げを行なう反面で、日本銀行がイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)と称して長期金利を抑え込んでいる。

このため、「円キャリー取引」(円で資金調達してドルで運用する取引)が行なわれる。これは、円を売ってドルを買う取引であるために、円安が進行するのだ。

「円キャリー取引」は、本来は極めてリスクの高い取引だ。将来円高になって為替差損が発生し、金利差による収入を上回ってしまう危険があるからだ。

しかし、日銀が金利を抑えているかぎり、円高にならないと期待することができる。

つまり、日銀は円安を進める投機行為を奨励していることになる。

財務省が円買いドル売り介入を行なっても、それによって生じる金利上昇を日銀が抑えてしまうため、介入の効果が打ち消されてしまう(これを「不胎化」という)。

つまり、日銀が長期金利を抑えている限り、いくら政府介入しても円安を止めることができない。これは自明のことである。

世界各国の中央銀行がそうしているように、長期金利を市場の実勢に任せる必要がある。

外国人労働者にとって賃金で日本の魅力が薄れる

日本人の多くは、日本が受け入れさえすれば、外国人労働者が来てくれると考えている。

しかし、円安が進んで日本の賃金水準が国際的に見て低くなると、日本に来て欲しいと望んでも、来てくれなくなる。

これは、現実に起きつつある問題だ。

建設や介護などの業種で「日本離れ」が始まっていると言われる。

日本円は、例えばベトナム通貨ドンに対しては、今年の初めから2割減価した。

このため、故国の家族に仕送りしているのだが、その金額が目減りすることに不安を感じ、日本での仕事をやめて帰国することを考えている労働者が増えているという。

フィリピンでは、日本より高賃金で、しかも英語を使えるオーストラリアやニュージーランドなどへの人材流出が加速しているそうだ。

日本への労働者の最大の送り出し国だった中国では、国内賃金の急上昇によって、外国への出稼ぎの魅力がなくなりつつある。日本への労働者は2010年がピークで、その後は減り続けている。

20年には、日本への出稼ぎではベトナムが首位となった。そしてネパールなども伸びている。しかし日本の賃金が上がらず、さらに円安で低下すれば、日本で就職しようとする人は、今後ますます少なくなっていくだろう。

NTTはGAFA予備校?デジタル人材は海外流出

日本の高度人材の海外流出も目立つようになった。

NTTでは、若手の優秀な技術者が、基礎知識を学んだ後に「GAFA」などの海外IT大手企業に転職していく動きが加速しているという。

このため、「NTTはGAFA予備校になった」と言われることがある。

NTTはこうした状況に対処するため、転勤や単身赴任をなくす。また、従業員の半分に当たる3万人を対象に住むところは自由という制度を作った。

この制度によって、都市部に単身赴任していた1500人のうち200人が、地元に帰ってテレワークしている。

さらに、20代でも課長級の役職に抜てきしたり、初任給をアップしたりするのを検討していることが報じられている。

こうした対応が行われるのは、望ましいことだ。しかし、GAFAの賃金水準は、とてつもない水準だ。

日本円に換算して、基本給が数千万円。1億円を超える場合もある。円安が進めばますますこれに対抗するのが困難になる。

これでは、日本でいくらデジタル人材を養成しても、海外に流出してしまう。だから、デジタル化を進めようとしても、できない。

もちろん、円安を是正しただけで、問題が解決できるわけではない。しかし人材流出を緩和はできるだろう。

逆に円安を放置したままでは賃金格差はさらに拡大してしまう。

そして、流出先はGAFAにとどまらず、広がっていくだろう。

キャピタルフライトはまだないが、起きれば日本は崩れる

日本では、個人金融資産約2000兆円のうち銀行預金が約1000兆円を占めている(正確には997兆円。2022年4~6月期、日銀、資金循環統計)。その大部分が円建てだ。

外貨預金は6.7兆円。対前年同期比はマイナス11.3%だ。これで見る限り、キャピタルフライトは起きていない。

しかし、円安がこれからも続くと、多くの日本人が考えて外貨預金に走れば、それが巨大な円安圧力になって、日本経済が破綻してしまう。

そうした事態が起らないことを心から望むが、円安がこうも続くと、心もとなくなってくる。

市場の圧力が政策を変更させたイギリスのほうが健全だ

イギリスでは、トラス政権がインフレが進む中、財源の裏付けのない減税策を提案して、市場の反撃にあった。ポンドが急落、長期金利が急騰し、年金基金が危機に陥ったのだ。

イングランド銀行が急遽政策を変更して、国債の買い支えを行ったが、あくまでも一時的な措置だとして、すぐに停止した。

つまり市場金利を市場の実勢に任せた。年金基金の危機を救う措置を最小限にとどめ、市場の規律を守る。それは、経済全体を守るためだ。

こうした事態を受けて、トラス首相はクワーテング財務相の更迭と減税策の撤回をせざるをえなくなった。そして最終的には、トラス首相自身が辞任するはめになった。

つまり、誤った政策を市場が修正したわけだ。

見えない市場や物価のシグナル 長期金利は実態に任せよ

ところが、日本では、日銀が長期金利を抑え込んでいるために、市場のシグナルが発せられない。

健全な経済を運営するための最も重要なメカニズムが殺されているわけだ。

もちろん、物価が上昇して国民の暮らしが苦しくなるというシグナルは出ている。しかし、政府がその一部をガソリン補助金などで見えなくしている。

総合経済対策で新たに電気代、ガス代抑制の補助金が支出されると、物価というシグナルがさらに隠されてしまう。

こうして、日本では経済が異常な状態に陥りながら、経済政策が転換されずにいる。その意味で、日本のほうがイギリスより深刻だ。

いま一刻も早く求められることは、日銀がイールドカーブ・コントロールをやめることだ。そして長期金利を市場の実態に任せることだ。

そうしない限り、円安を食い止めることはできない。そして日本の崩壊を食い止めることができない。

日銀が、自国通貨の価値を守るという、中央銀行本来の使命に戻ることを切望したい。