富国生命から財形年金の支払通知書が送られてきました。
年金の支払額は約18万円で、3か月分ですから1か月あたりは6万円です。今回は5年目の3回目です。受け取り方法は6年間年4回ですから、残り5回です。さみしいな。
財形(勤労者財産形成貯蓄制度)の現状を確認します。
今年の契約件数は前年比3%マイナスで、毎年減少しています。貯蓄残高は前年比100%ですが、これは既存の契約者の積み立てが継続しているので、契約者数減少を補った結果でしょう。
年 度 | 契約件数:千件 | 貯蓄残高:百万円 |
平成29年度 | 7,812 | 15,927,515 |
平成30年度 | 7,564 | 15,852,055 |
対前年度比 | 97% | 100% |
財形貯蓄制度には、一般財形、財形年金、財形住宅の3種類があります。
勤労者財産形成貯蓄(一般財形貯蓄)
勤労者が、金融機関などと契約を結んで3年以上の期間にわたって、毎月、ボーナス時期などに天引により、事業主を通じて積み立てていくもので、目的を問わない使途自由な貯蓄のことです。契約時の年齢制限はありませんし、複数の金融機関と契約できます。
勤労者財産形成年金貯蓄(財形年金貯蓄)
55歳未満の勤労者が金融機関などと契約(1人1契約)を結んで5年以上の期間にわたって、定期的に天引により、事業主を通じて積み立て、60歳以降の時期から5年以上の期間にわたって年金として支払いを受けることを目的とした貯蓄のことです。利子等に対する非課税措置があります。
勤労者財産形成住宅貯蓄(財形住宅貯蓄)
55歳未満の勤労者が金融機関などと契約(1人1契約)を結んで5年以上の期間にわたって定期的に天引により、事業主を通じて積み立てていくもので、持家取得を目的とした貯蓄のことです。利子等に対する非課税措置があります。
※財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄の利子等に対する非課税措置
財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄あわせて元利合計550万円(財形年金貯蓄のうち、郵便貯金、生命保険又は損害保険の保険料、生命共済の共済掛金、簡易保険の場合は払込ベースで385万円)から生ずる利子等が非課税とされます。
この三つの財形の契約件数、貯蓄残高は以下の通りです。契約件数は3種類ともに減少しています。貯蓄残高は一般財形だけ増加し、財形年金と財形住宅は減少しています。
財形貯蓄制度の実施状況(過去5年間)
◎契約件数:単位 千件
年 度 | 一般財形 | 財形年金 | 財形住宅 | 合 計 | 減少率 |
平成26年度 | 5,747 | 1,883 | 824 | 8,453 | ― |
平成27年度 | 5,603 | 1,838 | 790 | 8,231 | 2.6% |
平成28年度 | 5,485 | 1,794 | 751 | 8,030 | 2.4% |
平成29年度 | 5,360 | 1,734 | 718 | 7,812 | 2.7% |
平成30年度 | 5,217 | 1,670 | 678 | 7,564 | 3.2% |
◎貯蓄残高:単位 百万円
年 度 | 一般財形貯蓄 | 財形年金貯蓄 | 財形住宅貯蓄 | 合 計 | 減少率 |
平成26年度 | 10,805,225 | 3,288,061 | 2,018,377 | 16,111,664 | ― |
平成27年度 | 10,854,149 | 3,203,314 | 1,933,030 | 15,990,493 | 0.8% |
平成28年度 | 10,956,196 | 3,134,892 | 1,848,891 | 15,939,979 | 0.3% |
平成29年度 | 11,141,862 | 3,039,184 | 1,746,468 | 15,927,515 | 0.1% |
平成30年度 | 11,160,005 | 2,982,787 | 1,709,262 | 15,852,055 | 0.5% |
取り扱っている金融機関は、銀行、労働金庫、信用金庫、信用組合、証券会社、保険会社ですが、証券、保険は止めた会社もあります。
証券会社
- SMBC日興証券
- みずほ証券
保険会社
- アクサ生命保険
- 太陽生命保険
- 第一生命保険
- ジブラルタ生命保険
- 住友生命保険
- 共栄火災海上保険
- 東京海上日動火災保険
- 損害保険ジャパン日本興亜
日本生命と富国生命は新規受付をやめたようです。
財形貯蓄が衰退している理由は、いくつかあると思います。
◎超低金利
30年ほど前、保険会社の財形の利率は5%を超えていた時期もありましたが、現在は1%以下のところが多いようです。一方、アメリカ株式のインデックスファンドやETFに直接投資すれば、5%~10%のリターンが期待できますので、相対的に魅力がなくなりました。
◎イデコ、つみたてNISAの登場
税制上の優遇措置のあるイデコ、つみたてNISAといった新制度が登場したので、相対的な魅力度がなくなりました。
◎低コストインデックスファンド、内外のETF
2014年に<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドが登場して以来、三菱UFJ国際投信株式会社がeMAXIS Slim シリーズでコスト引き下げ競争を仕掛けました。その結果、もともと低コストだったネット証券だけでなく、野村證券などの対面証券もイデコ、つみたてNISA専用の低コスト商品を発売し始めました。また、1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))など国内のETFに加えて、SPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)、VOO、VTなど海外のETFも入手しやすくなりました。この結果、銀行、保険会社などに高い中間マージンを取られずに済む時代になりました。つまり中抜きができるようになったため、財形の魅力がなくなったのです。
◎就労人口減少
団塊の世代が高齢者になり、契約者を卒業し、若い年代の人口が減ってきたことも大きな理由でしょう。