<改訂版>50歳代、60歳代のための具体的投資(70歳代以上の方もどうぞ) 5:対面証券でも良いが、営業の勧める商品は買わない

前回に続いて、対面証券とネット証券の比較をします。今日は、3の売買手数料からです。

対面証券 ネット証券
1.低コストのETFの品揃え ある ある
2.低コストのインデックスファンドの品揃え 極めて少ない。NISA限定などの制約 ある
3.各種コスト 高いものが多い 安い
4.手続き 高齢だとハードルが低いかも 人によってはハードルが少し高い場合もある
5.顧客が損をする営業攻勢 ある。高い商品を買わされる恐れ ない

3.売買手数料

対面証券のカウンター、電話は1%

主要各社の、株式ETFを買う場合の手数料を表にしました。取引金額によって、手数料率は異なりますが、ここでは、中高年がまとまったお金(100万円)を年間1~2回買うことを想定しています。したがって、1日に何回も売り買いするデイトレーダー用の手数料率は念頭にありません。

100万円の取引
野村證券:電話 12,188
野村ネット&コール 1,048
大和証券:お店 12,650
大和証券:インターネット 9,482
SMBC日興証券:オペレーター 10,752
SMBC日興証券:パソコン、スマートフォン 880
SBI証券 535
楽天証券 535

対面証券は電話1本で発注可能

対面証券の良いところは、電話やお店のカウンターで発注ができることです。私の父親はパソコンはできませんが、90歳代まで電話で株式を注文していました。しかし、それには売買手数料と言うコストも多めにかかります。野村証券は12,188円、大和証券は12,650円、SMBC日興証券は10,752円です。概して1%強のコストがかかります。

対面証券のオンラインは0.1%

野村等も、オンラインであれば、野村證券1,048円、SMBC日興証券は880円ですから0.1%です。ただし、大和証券は9,482円もするので、お店より25%しか割引になりません。

ネット証券は0.05%

ネット証券は、SBI証券 487円、楽天証券 535円ですから0.05%程度です。

野村證券などの対面証券会社は、ネット証券会社にコスト面では負けていますが、このコストは買うときと売る時の2回しかかからないコストですから、往復で2%の差があると言っても、10年持ち続ければ、1年あたりに均して0.2%、20年なら0.1%の差にすぎません。

1回だけのコストと煩わしさの比較

このコスト差と、ネット証券口座開設・資産移管・不慣れな取引などのわずらわしさとを比較して、どちらを選ぶべきかという問題があります。私のように還暦を過ぎた人間は、今まで通り、野村證券と取引を続けた方が良いと考えています。現実に、私は12年前に株式ETFを買った後は、一部を売却した以外はそのままほったらかしなので、取引手数料はほとんどかかっていません。

4.手続き

昭和世代のハードル

SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券(あるいは、野村、大和、SMBC日興のオンライン)などはインターネットでほとんどの手続きをすることになります。昭和の時代に学生時代、青春時代を過ごした人にとっては、これが結構高いハードルになっている場合があります。

例えば口座開設の入力画面では以下のようなことで戸惑ったり、迷ったりすることがあります。

  • 氏名を入力したが、エラーになる。その理由は環境文字を受け付けないから。
  • 口座を特定口座にするかどうかを選ばなければならないが、特定口座の概念がよく分からない。
  • Vポイントを選ぶかどうかを問われるが、どんなメリット・デメリットがあるか分からない
  • 住信SBIネット銀行との取引を問われるが、どうして良いか分からない
  • NISAやiDeCoの申請には時間がかかる

インターネットのハードル

私も、子供のSBI証券口座開設は、隣に座ったり、ズームを使ってアドバイスしましたが、正直に言って中高年の人にとっては、低いハードルでない気がしました。

昭和時代の保険会社、証券会社

昭和の時代に、野村証券に口座を開設したり、保険会社の財形貯蓄に申し込むときには、証券会社のカウンターの担当や、保険会社のおばちゃんに指導してもらいながら、必要書類を作成できたのですが、その感覚でいると、ネット証券は使いこなせません。

中高年にネット証券は必須でない

しかし現代は、ある程度の手数料を一度払えば、株式ETFを購入できるのですから、中高年がわざわざネット証券を利用する必要は、あまりありません。

ネット証券は何となく不安

また、人によって、ネット証券は、歴史も短く、店舗もないので不安だと考える人もいます。私の連れ合いもその口です。やはり、日本最大の証券会社である野村證券は、それだけで安心感があります。頑張ってネット証券を利用する価値があるかどうかは、人によるでしょう。

5.顧客が損をする営業攻勢

対面証券会社を使う場合のデメリットとして上げられるのdが、証券会社の営業攻勢です。野村証券は、ノルマ証券等も言われるように、様々な営業攻勢をかけてきます。

具体的には、次のような商品を営業します。

  1. アクティブファンド
  2. 株式の新規公開・買い替え
  3. ラップファンド
  4. 毎月分配型投信
  5. 社債

などです。

1.アクティブファンド

購入手数料、信託報酬(管理費)が高いので、手を出してはいけない商品です。インデックスファンドよりも名前が魅力的だし、メディアでも頻繁に取り上げられるので、買いたくなる人もいますが、メディアは、証券会社から広告宣伝料をもらっているから取り上げるのであって、個人投資家にとって必ずしも良い商品ではありません。

私は40年前に山一證券の人から、株取引についてアドバイスをもらいました。それは、「投資信託だけはやめたほうが良い。あれは証券会社が儲けて、損をするのは個人投資家だ」と言うものでした。当時は、インデックスファンドはまだ存在していなかったので、現在のアクティブファンドしかありませんでした。今年惜しくも亡くなられた経済評論家の山崎元さんに、この話をしたところ、「それは正しい」と言いました。

2.株式の買い替え & 5.社債

私は個別株式や社債に関心がありませんが、売れ残った公開株式などを営業してくることがありました。具体的には、ソフトバンク株、郵政株、トヨタ自動車の社債などです。これらの商品は、個人投資家のためではなく、証券会社社員のノルマ達成のための営業攻勢です。

3.ラップファンド & 4.毎月分配型投信

これらの商品は、非常にコストが高い商品で、金融庁から目を付けられています。知識のない人に営業して、買わせてしまうのです。

対面証券で利用すべきなのは、次の商品・制度だけと思ってよいでしょう。

  • 株式ETF(国内、海外)
  • NISAのインデックスファンド
  • iDeCoのインデックスファンド

私自身も、株式ETF(国内、海外)、NISA、iDeCoを野村証券で利用しています。