毎年200万円の分配金を受け取るために

毎月分配型投資信託は問題

もし、夫婦の年金額が毎年200万円だとしたら、老後の生活は少し厳しいかもしれません。年金には、厚生年金以外に確定給付年金、確定拠出年金、財形年金、年金保険などがあり、それを加えて300万円から400万円の年金で暮らしたいというのは普通の感覚です。それだけで足りない場合に、人によっては、毎月分配型の投資信託を購入して現金を受け取る場合も有ります。ところが数年前に、元本取り崩しや説明不足があったために、金融庁が問題視しました。

追加の200万円は投資信託の元本に手をつけない

毎年受け取る年金が200万円だとして、それにくわえて更に200万円を配当で受け取れるとしたら、生活は楽でしょう。しかもこの200万円は元本を取り崩すことのない分配金、配当金だけだとします。

ETFの分配金は2%

日本のTOPIX連動型ETFやアメリカのS&P500 連動型ETFのの分配率は、約2%です。従って、1億円のETFを持っていれば、元本に手を付けずに分配金だけで追加の200万円を受け取ることができます。代表的な銘柄をあげれば、日米でそれぞれ最大規模の、1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))、SPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)が該当します。これらのETFのトータルリターンは年率で5%とか10%といった数字ですが、そのうちの2%が分配金で支払われ、残りがキャピタルゲインになります。そして投資残高が増えていくのです。

毎月5万円を積み立てる

具体的な数字で見てみましょう。毎月5万円ずつ積み立てると年間で60万円になります。この60万円を銀行や郵便局で預金・貯金してはいけません。外国を中心とする株式の投資信託で積み立てるのです。ストレートで大学を卒業すると22歳から積み立てることができます。これを、リタイヤする60歳代半ばまで続けるとします。

年齢 積立額 5%複利運用結果
22 600,000 600,000
23 600,000 1,260,000
24 600,000 1,953,000
25 600,000 2,680,650
26 600,000 3,444,683
27 600,000 4,246,917
28 600,000 5,089,262
29 600,000 5,973,726
30 600,000 6,902,412
31 600,000 7,877,532
32 600,000 8,901,409
33 600,000 9,976,480
34 600,000 11,105,304
35 600,000 12,290,569
36 600,000 13,535,097
37 600,000 14,841,852
38 600,000 16,213,945
39 600,000 17,654,642
40 600,000 19,167,374
41 600,000 20,755,743
42 600,000 22,423,530
43 600,000 24,174,706
44 600,000 26,013,442
45 600,000 27,944,114
46 600,000 29,971,319
47 600,000 32,099,885
48 600,000 34,334,879
49 600,000 36,681,623
50 600,000 39,145,705
51 600,000 41,732,990
52 600,000 44,449,639
53 600,000 47,302,121
54 600,000 50,297,227
55 600,000 53,442,089
56 600,000 56,744,193
57 600,000 60,211,403
58 600,000 63,851,973
59 600,000 67,674,572
60 600,000 71,688,300
61 600,000 75,902,715
62 600,000 80,327,851
63 600,000 84,974,244
64 600,000 89,852,956
65 600,000 94,975,604
66 600,000 100,354,384

最初は12年

1000万円台の大台に乗せるには、12年かかり34歳になっています。12年間60万円ずつためると720万円になりますが、少しずつ複利効果が効いてきて、300万円ぶんは自分でなくお金自体が働いて増やしてくれます。

次は7年

2000万円台になるのは、その7年後ですから、5年間短縮になりました。複利の威力です。アインシュタインは、複利を人類最大の発明と言ったとされています。

最後は1年

その後6年で3000万円に到達しました。その後1000増える期間は徐々に短くなって、9000万円台から1億円になるには1年です。ただし、この年は500万円しか増加していません。

キャピタルゲインの毎年3%は増加するだけ

1億円になったころから、毎年分配金を200万円ずつ引き出して使ったとしても、キャピタルゲインが3%ずつ付けば、毎年300万円ずつ本体が増加します。キャピタルゲインは、株式相場の変動によって大きく上下する可能性がありますが、長期で均せば3%増加するという計算です。

ETFの分配金は安定

一方、分配金の200万円は株式相場の変動にかかわらず、ある程度安定して受け取ることができます。

投資先を間違えない

この方法で大事なことは、①開始年齢 ②制度(イデコ、つみたてNISAなど)の利用 ③毎月の積立額 ④外国株式インデックスファンド の4点です。

①開始年齢

できるだけ早い方が複利の威力を発揮できます。20歳代から始めることが望ましいですが、30歳代以降でも、思い立った時から始めたいのです。

②制度(イデコ、つみたてNISAなど)

複利の威力を発揮させるには、イデコが最も望ましく、できるだけ最高額を積み立てることです。それが不可能なら、税制上のメリットがあるつみたてNISAを使いましょう。

③毎月の積立額

イデコなどの確定拠出年金は数年後に最大5.5万円積み立てることが可能になりそうです。現在イデコ等で5万円を積み立てられなければ、つみたてNISAを併用する方法も有効です。

④外国株式インデックスファンド

短期ではリスクが高い外国株式インデックスファンドも数十年の長期では、大きく成長することができます。一方、ダメな商品としては、債券ファンド、バランスファンドなどです。これらの商品は、当面高いリターンを期待できそうにありません。