新社会人へのアドバイス
私は長いサラリーマン人生の間に、資産運用関係の仕事に携わって来ました。その知見をもとに、就職が内定した自分の子供にお金のアドバイスをしました。このブログでは、数回に分けてそれを説明しています。
⑪ 従業員持株会は、個別株式なので持たない方が良いが、やむを得ず持つときは最小単位にする。
安定株主
上場企業は福利厚生という名のもとに、従業員持株会を作っている場合があります。しかし、会社の本音は安定株主の確保です。1部上場企業の株式売買の6割は現在外国人投資家と言われています。それに加えて、最近は日本銀行やGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が日本株式を大量に購入しているので、この2組織は2頭のクジラと言われています。安定株主が少ない中で、従業員持株会の存在は経営者にとって重要な存在です。経営者は、物言う株主などから、会社役員の交代、配当金アップ、事業売却の提案をされたくないのです。しかし、従業員持株会の占めるシェアはせいぜい数パーセントです。そこで、安定株主獲得対策として、株主優待制度も行っているわけです。
補助金とリスク
従業員持株会は、例えば1,000円から30,000円の間で毎月株式を買う制度です。買う際に、会社から1割程度の補助金をもらうことができます。この部分については福利厚生といえますが、従業員は逆に大きなリスクを抱えることになります。
真逆の結果
連れ合いと私は、従業員持株会を満額積み立ててきましたが、結果は全く弱になりました。
倒産と株式価値
会社は倒産する可能性があります。その時には、職を失うだけでなく、持株会株式の価値がゼロになり、退職金や年金も減額される恐れがあります。あるいは倒産まで行かなくても、業績が悪化して株価が下落したときにリストラ対象となってしまえば、職を失い株式価値も下落することになります。私の連れ合いは、退職後に会社が倒産して積み立ててきた400万円がゼロになりました。
私は2.5倍
逆に、私は積み立ててきた従業員持株会の元本は1000万円でしたが、2012年初めごろに急に価格が上昇したので全株式を2500万円で売って、その全額を1306(TOPIX連動型上場投資信託のETF)の購入資金に充てました。1306の評価額は現在4,500万円です。
個別株式1銘柄のギャンブル
つまり、連れ合いは400万円がゼロになり、私は1000万円が4500万円になったわけです。従業員持株会の株式は個別株式の一つにしかすぎませんから、それを大量に持ち続けることはギャンブルです。大事な個人資産でギャンブルをすることは感心しません。
従業員持株会への対処方法は次の3通りが考えられます。
- 従業員持株会に入らない。
- 付き合いとして最低限(例えば毎月1000円)だけ積み立てる。
- 管理職などで多額の積み立てをしなければならない場合は、数年ごとに引き出してETF等に変換する。
とばっちり
私の連れ合いは、会社が倒産したときに、私に向かって「なんで、危ないから早く売っちゃった方が良いとアドバイスしてくれなかったの。」と文句を言いました。とばっちりも良いところです。